アーケード版『武力 BURIKI・ONE』異色の操作系と格闘リアル志向

アーケードゲーム『武力 〜BURIKI ONE〜』は、1999年5月21日にSNKより発売された3D対戦格闘ゲームです。開発もSNKが手がけ、同社のハイパーネオジオ64基板を使用して稼働しました。本作は、架空の異種格闘技大会「WORLD GRAPPLE TOURNAMENT ’99 in TOKYO」を舞台に、12人の格闘家たちが頂点を目指して戦います。ゲームシステムには、レバーで攻撃、ボタンで移動という独特の操作方法や、リアルな格闘技を再現したシステムなど、従来の格闘ゲームとは一線を画す特徴が見られます。

開発背景や技術的な挑戦

『武力 〜BURIKI ONE〜』は、SNKがハイパーネオジオ64基板向けに開発した最後の作品であり、同基板の性能を活かしたリアルな格闘表現を追求しました。従来の2Dドット絵から3Dポリゴンへの移行は、当時の技術的な挑戦であり、キャラクターのモデリングやアニメーション、カメラワークなど、多くの新しい試みがなされました。また、レバーで攻撃、ボタンで移動という独特の操作方法を採用し、リアルな格闘技の再現を目指しました。

プレイ体験

実際にプレイしてみると、レバーで攻撃、ボタンで移動という独特の操作方法は、従来の格闘ゲームとは異なる新鮮な体験を提供します。特に、リアルな格闘技を再現したシステムや、体力ゲージの代わりに心拍数を示すモニターが採用されており、緊張感のあるバトルが展開されます。また、各キャラクターが実在の格闘技をベースにしており、それぞれの技や動きに個性が感じられます。

初期評価と現在の再評価

発売当初、『武力 〜BURIKI ONE〜』はその独特の操作方法やリアル志向のゲームシステムから、プレイヤーの間で賛否が分かれました。しかし、現在ではその革新性や独自性が再評価され、レトロゲームファンの間でカルト的な人気を博しています。特に、他の格闘ゲームとは一線を画すリアルな格闘表現や、独自の操作方法が注目されています。

他ジャンル・文化への影響

『武力 〜BURIKI ONE〜』のキャラクターである天童凱やズィルバーは、後の『THE KING OF FIGHTERS XI』などの作品にも登場し、SNKの格闘ゲームの世界観を広げる一翼を担っています。また、リアルな格闘技の再現や独特の操作方法は、他の格闘ゲームにも影響を与えました。

リメイクでの進化

もし現代にリメイクされるとすれば、グラフィックの高解像度化やオンライン対戦機能の追加が期待されます。また、操作方法の見直しやチュートリアルの充実など、現代のプレイヤーのニーズに合わせた進化が求められるでしょう。さらに、ストーリーモードの強化やボイス演出の追加など、より没入感のある体験が提供される可能性があります。

まとめ

『武力 〜BURIKI ONE〜』は、1990年代の格闘ゲームブームの中で、独自のシステムとリアルな格闘表現で存在感を放った作品です。発売当初は賛否が分かれましたが、現在ではその革新性や独自性が再評価され、多くのファンに愛されています。今後、リメイクや新作の展開があれば、さらに多くのプレイヤーにその魅力が伝わることでしょう。

攻略

ストーリー

物語の舞台は1999年春、東京に新設された「NEO TOKYO GRAPPLE DOME」で開催される異種格闘技大会「WORLD GRAPPLE TOURNAMENT ’99 in TOKYO」です。この大会には、空手、柔道、ボクシング、プロレス、合気道、太極拳、ムエタイ、相撲など、世界各国の格闘家12名が参加し、それぞれの武術の優劣を競います。

登場キャラクターには、17歳の主人公・天童凱(自ら編み出した「トータルファイティング」スタイルの使い手)や、坂崎リョウ(『龍虎の拳』シリーズからのゲストキャラクター)、ロブ・パイソン(35歳のスーパーヘビー級ボクサー)、西園寺貴人(合気道の達人で高校生)、暁丸(関脇の相撲力士)など、多彩なバックボーンを持つ格闘家たちが登場します。

ゲームシステム

本作は、リアルな格闘技の再現を追求し、従来の格闘ゲームとは一線を画す独自のシステムを持っています。

操作系統

『武力 〜BURIKI ONE〜』は、従来の格闘ゲームとは異なり、左側のボタンで移動、右側のレバーで攻撃を行うという独特の操作体系を採用しています。具体的には、左側の2つのボタンで前後移動を行い、押す時間により通常の歩きとダッシュ移動の切り替えが可能です。右側のレバー操作により攻撃を行い、レバーを前方向に倒すことで攻撃、それ以外の方向は攻撃の予備動作などとなっています。

攻撃システム

攻撃はレバーの方向入力によって変化し、前方向でジャブ、斜め前でハイキック、斜め下でローキックなど、レバーの動きとキャラクターの動きがダイレクトに直結しています。これにより、プレイヤーは自分が狙ったところを攻撃している感覚を味わうことができます。

ガードシステム

ガードは、左側の2つのボタンを同時に押すことで行います。ガード操作に上下段の区別はなく、すべての攻撃を同じ操作で防ぐことができます。

パワーバランスゲージ

移動や攻撃による重心の動きは、画面上に矢印を模したパワーバランスゲージとして表示されます。このゲージが前に行っている状態で攻撃を受けると、カウンターとして受けるダメージが増加します。パワーバランスゲージの長さはキャラクターごとに異なり、投げや関節技の多いスタイルの選手の方が長い傾向にあります。

試合ルール

試合は1ラウンド制で、ノックアウト、ギブアップ、または判定勝ちのいずれかで勝敗が決まります。リングアウト時には試合が一時停止し、再開される仕組みです。また、ゲーム中ではリングや背後の大型スクリーンに企業の広告が表示されるなど、リアルな格闘技大会の雰囲気を再現しています。

キャラクター

天童 凱(てんどう がい)

荒削りな才能と爆発的な攻撃力で観客を魅了する天童凱は、17歳の若さで世界大会に挑む異端の格闘家です。中学卒業後に沖縄へ渡り、独学で総合格闘術を築き上げた彼は、空手、プロレス、柔道、柔術、サンボなど多彩な技術を融合させたスタイルを持ちます。その戦い方は接近戦に特化しており、コンビネーション攻撃とスウェーを駆使して相手を翻弄します。代表技の「スウェーからのカウンター」は、相手の攻撃をかわしつつ反撃する高度な技術で、短期決戦を得意とする彼の戦術を象徴しています。ファンからは、その若さと才能、そして飾らない性格が支持されており、まさに次世代のエースとして注目されています。

坂崎 リョウ(さかざき りょう)

極限流空手の師範代として知られる坂崎リョウは、32歳にして円熟味を増した格闘家です。『龍虎の拳』シリーズからの登場で、実戦色の濃い極限流空手を駆使し、攻守のバランスに優れた戦い方を展開します。そのスタイルは初心者にも扱いやすく、堅実な立ち回りが可能です。代表技の「覇王翔吼拳」は、遠距離からの牽制やコンボの締めに有効で、彼の戦術の幅を広げています。ファンからは、長年の経験と安定感、そして貫禄ある風貌が評価されており、シリーズを通じて高い人気を誇っています。

ロブ・パイソン

アメリカ出身の35歳、ロブ・パイソンは、プロ意識の高いボクサーとして知られています。彼の戦闘スタイルはボクシングで、手技のみを使用するためリーチは短めですが、その分回転が速く、ラッシュ力に優れています。中級者向けのキャラクターであり、スピードとパワーを兼ね備えた戦い方が特徴です。代表技の「ヘッドカウンターWインパクト」は、相手の攻撃を読み切り、強烈な反撃を加える技で、試合の流れを一気に変える力を持っています。ファンからは、その豪快な戦いぶりと、自己中心的ながらも憎めないキャラクター性が人気の理由となっています。

ジャック・デュカリス

フランス出身の32歳、ジャック・デュカリスは、柔道の金メダリストであり、現在はフランス柔道協会の理事を務める実力者です。彼の戦闘スタイルは柔道で、投げ技を中心とした戦い方が特徴です。上級者向けのキャラクターであり、打撃技は少ないものの、組み技のバリエーションと威力で相手を圧倒します。代表技の「背負い投げ」は、相手の動きを封じることができ、試合の主導権を握るのに有効です。ファンからは、その正統派な柔道スタイルと、紳士的な振る舞いが評価されており、技術を重視するプレイヤーに支持されています。

徐 竜誠(ソ・ヨンソン)

韓国出身の18歳、徐竜誠は、テコンドーの中量級世界チャンピオンとして名を馳せる若き天才です。彼の戦闘スタイルはテコンドーで、華麗な蹴り技を駆使し、スピーディーな戦い方が特徴です。初心者から上級者まで扱いやすく、特に中距離での攻防に強みを持ちます。代表技の「旋風脚」は、連続した回し蹴りで相手を翻弄し、一気にダメージを与えることが可能です。ファンからは、その爽やかなルックスと、華麗な技の数々が人気の理由となっており、若手のホープとして注目されています。

西園寺 貴人(さいおんじ たかと)

日本の名門出身である17歳の西園寺貴人は、合気道を極めた高校生ファイターです。彼の戦闘スタイルは合気道で、相手の力を利用した投げ技や反撃技が特徴です。上級者向けのキャラクターであり、タイミングを見極める技術が求められます。代表技の「小手返し」は、相手の攻撃を受け流しつつ反撃する技で、相手のリズムを崩すのに有効です。ファンからは、その端正な容姿と礼儀正しい態度、そして繊細ながらも芯のある戦い方が支持されており、異色の存在として注目されています。

パヤック・シピタック

家族思いのムエタイ戦士パヤック・シピタックは、タイ出身の40歳で、ウェルター級のトップ選手として知られています。彼の戦闘スタイルはムエタイで、膝蹴りや肘打ちを駆使した近接戦闘に優れています。初心者にも扱いやすく、攻守のバランスが取れたキャラクターです。代表技の「フライングニー」は、相手のガードを突き破る強力な技で、接近戦での主導権を握るのに有効です。ファンからは、その謙虚な性格と家族への愛情、そして堅実な戦い方が支持されており、親しみやすいキャラクターとして人気があります。

宋 玄道(ソン・シュエンダオ)

悠然とした動きで相手を翻弄する宋玄道は、中国出身の70歳で、太極拳の達人として知られています。彼の戦闘スタイルは太極拳で、緩やかな動きから繰り出される鋭い攻撃が特徴です。中級者向けのキャラクターであり、間合い管理とカウンター技術が求められます。代表技の「推手」は、相手の攻撃を受け流しつつ反撃する技で、相手のリズムを崩すのに有効です。ファンからは、その温和な人柄と深い武術の知識、そして独特な戦闘スタイルが評価されており、渋い魅力を持つキャラクターとして愛されています。

パトリック・ファン・ヒディング

圧倒的な体格とパワーで観客を魅了するパトリック・ファン・ヒディングは、オランダ出身の37歳で、プロレスラーとして活躍しています。彼の戦闘スタイルはプロレスで、投げ技やパワフルな打撃技を駆使した戦い方が特徴です。中級者向けのキャラクターであり、攻撃力と耐久力に優れています。代表技の「ジャーマンスープレックス」は、相手を背後から投げ飛ばす強力な技で、一発逆転を狙う場面で活躍します。ファンからは、その豪快な戦いぶりとエンターテイナーとしての魅力が支持されており、試合を盛り上げる存在として人気があります。

イワン・ソコロフ

寡黙な実力者イワン・ソコロフは、ロシア出身の27歳で、オリンピック金メダリストの経歴を持つレスリングの達人です。彼の戦闘スタイルはレスリングで、組み技や投げ技を中心とした戦い方が特徴です。上級者向けのキャラクターであり、相手の動きを読み取る技術が求められます。代表技の「片足タックル」は、相手のバランスを崩しつつ投げ技に繋げる技で、試合の流れを変える力を持っています。ファンからは、その冷静沈着な性格と確かな実力、そして控えめながらも存在感のあるキャラクター性が評価されており、玄人好みのキャラクターとして支持されています。

暁丸(あかつきまる)

巨体を活かした圧倒的な突進力を誇る暁丸は、日本出身の28歳で、関脇の地位にある現役力士です。彼の戦闘スタイルは相撲で、突進や押し出しを中心とした戦い方が特徴です。中級者向けのキャラクターであり、耐久力と攻撃力に優れています。代表技の「張り手」は、相手を吹き飛ばす強力な打撃技で、接近戦での主導権を握るのに有効です。ファンからは、その豪快な戦いぶりとユニークなキャラクター性、そして相撲という伝統的な格闘技を取り入れたスタイルが評価されており、異色の存在として注目されています。

ズィルバー

圧倒的な存在感と実力でプレイヤーに立ちはだかるズィルバーは、ドイツ出身の49歳で、我流空手を極めた謎多き格闘家です。彼の戦闘スタイルは我流空手で、独自の技と圧倒的な攻撃力を持ちます。上級者向けのキャラクターであり、攻撃力と防御力に優れています。代表技の「連撃」は、素早い連続攻撃で相手を圧倒する技で、試合の流れを一気に引き寄せる力を持っています。ファンからは、そのミステリアスな雰囲気と圧倒的な強さ、そして独自の美学を持つキャラクター性が評価されており、ラスボスとしての存在感を放っています。

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