アーケード版『プレアデス』

アーケードプラットフォーム『プレアデス』は、1981年にテーカン(現コーエーテクモゲームス)によって発売された固定画面型のシューティングゲームです。本作は、同社が自社で初めて開発・リリースしたビデオゲームであり、日本および海外市場において重要な足跡を残しました。4つの異なるステージがループする構造や、変化に富んだステージ構成、固定画面ながらスクロール効果を取り入れるなど、当時としては革新的な試みが多数盛り込まれており、アーケードゲーム史における隠れた名作と評価されています。

開発背景や技術的な挑戦

テーカンはもともとビルメンテナンス業からスタートし、1970年代後半にアミューズメント事業へ進出しました。1981年には米国法人を設立し、同年4月に『プレアデス』を発表します。『プレアデス』は、前年にリリースされた『フェニックス』をベースに開発され、基板の改良やカラーパレットの拡張、サウンドの強化が施されました。限られたリソースの中、小規模ながらも多才な開発チームが手作業でグラフィックを作成し、創意工夫を重ねて完成させたタイトルです。

プレイ体験

『プレアデス』は、操作がシンプルながらも非常に奥深いゲームです。筆者が特に印象に残ったのは、第4ステージでのドッキング操作。障害物を避けながら正確に着陸する操作は、緊張感と達成感を伴い、当時のアーケードゲームの醍醐味を体現しています。また、ステージごとに背景や敵が変化する点も新鮮で、リプレイするたびに異なる体験を提供してくれます。

評価の変遷

『プレアデス』は、日本だけでなく北米市場でも成功を収め、セントゥーリ社の1981年度収益の15.5%を占めました。『Play Meter』誌での9位ランクインはその人気を裏付けるものです。一方で家庭用移植版の評価はまちまちで、アーケード版の再現が難しいことが浮き彫りになりました。近年では、モバイルやコンピレーションで再評価され、「初期シューターの名作」として一定の支持を得ています。

他ジャンル・文化への影響

『プレアデス』は映画『ナイトメアーズ』や『ブラッド・シンプル』に登場し、アーケード文化の象徴としても記憶されています。また、マルチステージのゲーム構造は後のシューティングゲームやアクションゲームに影響を与え、ステージごとの演出やゲーム性の変化という概念を広めました。

リメイクでの進化

現代に『プレアデス』がリメイクされるとしたら、4K解像度やHDR対応によるビジュアルの進化、精密な操作を補助するアシスト機能、さらにはオンラインランキングによるスコア競争などが期待されます。また、VRやARを活用することで、没入感のある宇宙戦闘体験も可能となるでしょう。

まとめ

『プレアデス』は、1981年というアーケード黄金期に登場した野心的な固定画面シューティングゲームです。自社初の開発タイトルとしてテーカンの名を高め、多彩なステージ構成と高難易度のゲームプレイで多くのプレイヤーを魅了しました。後のゲームデザインにも影響を与え、技術的挑戦と創意工夫に満ちた作品として今なお語り継がれています。

© 1981 Tehkan Ltd.