時を超えた冒険が魅せる壮大な物語、スーパーファミコンの金字塔『クロノ・トリガー』

クロノは、17歳の少年で、普通の町民として現代のガルディア王国で母親と暮らしています。彼の物語は、千年祭でのマールとの出会いと、ルッカの発明した機械の事故により、突如として世界の未来を救う壮大な冒険へと巻き込まれることから始まります。

クロノはゲーム中でほとんどセリフを持たず、彼の性格や考えはプレイヤーの行動や選択によって反映されます。この点が、彼をプレイヤー自身の分身として感じさせる要因の一つとなっています。彼の外見の特徴は、逆立った鮮やかな赤い髪とハチマキで、戦闘では主に日本刀を使い、天属性の雷系の魔法を操ります。クロノはゲームの初期段階ではパーティから外すことができず、物語の中心的存在として活躍しますが、物語終盤には死亡し、その後の復活イベントを通じて再びパーティに加えることが可能です。ただし、彼の復活はゲームをクリアするために必須ではなく、彼なしで物語を進めることもできます。その場合、エンディングでは仲間たちがクロノを蘇らせる方法を探すという内容になります。

16歳の少女で、ポニーテールにした綺麗な金髪が特徴的なマールは、ゲーム序盤で主人公のクロノが千年祭会場で出会うことになります。彼女の正体はA.D.1000年のガルディア王国の王女で、本名はマールディア（Nadia）ですが、物語の中で名前を変更することが可能で、変更後も名前の最後に「ディア」をつけるというルールがあります。

マールは天真爛漫でおてんばな性格をしていますが、実は内面では臆病で泣き虫な一面も持ち合わせています。クロノとは城を抜け出した際に出会い、彼と一緒に千年祭を楽しむことになりますが、ルッカの発明した装置の事故によって中世へ飛ばされてしまいます。その後、クロノに助けられるなど、彼に対して強い信頼を見せています。

マールはボウガンや弓を武器に使用し、属性は水で、特に氷系の魔法を得意とします。ゲーム序盤から回復技を使うことができ、攻撃魔法・回復魔法・蘇生魔法・補助魔法を覚えていきます。魔力が高いため、回復魔法の効果は高いですが、強力な攻撃魔法は覚えず、終盤では特に支援面での役割が強くなります。

主人公クロノの幼馴染みである19歳の少女です。彼女は紫のショートヘアをしており、顔が見えるタイプのヘルメットを着用しています。さらに、眼鏡を掛けることも特徴の一つです。大変な発明好きであり、自分の才能に強い自信を持っているルッカは、機械やロボットを作ったり修理したりすることが趣味です。特に、彼女が開発したテレポッド（転移装置）が、ゲーム中での大冒険の始まりを告げるきっかけとなります。彼女の背景には、10年前に母・ララが関わる悲劇があります。その出来事によりルッカは機械に強い興味を持ち始め、その才能をさらに伸ばしていきました。ゲームの展開次第では、この過去を変えることが可能なイベントもあります。

戦闘では、ルッカは銃を武器として使用し、火属性の魔法を得意とします。彼女の攻撃は、火を使った魔法や発明品を駆使して敵を焼き尽くすもので、特に魔力が高いため、火属性の魔法で大ダメージを与えることができます。終盤には「フレア」という非常に強力な火属性の魔法を使用できるようになります。

未来の「プロメテドーム」という場所で壊れかけた状態で放置されていたロボットです。ルッカによって偶然発見され、修理されたことで仲間に加わります。ロボの未来での本名は「プロメテス」で、製造番号は「R-66Y」とされていますが、マールの提案を受けクロノが「ロボ」と名付けます。

ロボは、ロケットパンチやレーザー、ビームによる回復など、多彩な技を持つキャラクターです。これらの技により、戦闘では非常に役立ちます。内蔵武器を除くと、主に素手での攻撃や体当たりを得意としており、アームの部分は換装可能な武器としての機能を持っています。ロボットであるため属性は持たず、しかしスペッキオによれば、彼のレーザーなどの攻撃は冥攻撃に似ているとのことです。

中世ガルディア王国の騎士で、本名はグレンです。彼はガルディア王国前騎士団長である親友サイラスの遺志を継ぎ、勇者として伝説の剣グランドリオンを手に戦うことを誓います。しかし、魔王による呪いでカエルの姿に変えられてしまったため、リーネ王妃を影から守ることを選びます。もしゲーム中で特定の条件を満たせば、エンディングで人間の姿に戻ることができるのも、彼の物語の興味深いポイントの一つです。

カエルは、西洋の剣を武器として使用し、属性は水です。攻撃魔法はウォーター系で、彼は攻撃魔法と回復魔法の両方を使うことができる万能戦士としての役割を果たします。サイラスより実力が上であったにもかかわらず、グランドリオンを使えなかったために、魔王との戦いで力を発揮できなかったという過去があります。

エイラは原始時代のイオカ村の長であり、24歳のパワフルかつセクシーな女性キャラクターです。彼女の話し方は片言が特徴で、強い者に対して好意を示します。特に、ゲームの主人公であるクロノに対して好意を持っていることが伺えます。エイラの背景には、彼女がマールの先祖である可能性が示唆されており、物語に深みを与えています。

戦闘において、エイラは武器を使わずにパンチやキック、噛み付きといった肉弾戦を得意とします。このため、彼女は武器を装備変更できず、「こぶし」という武器が固定されています。しかし、レベルアップによって「こぶし」は性能が向上し、最終的には9999ダメージを出す「ごうけん」に変化することができます。ただし、これらの変化は一定のレベルに到達した瞬間に自動で起こるわけではありません。魔法が栄える時代よりも前に生まれたエイラは、魔法を使うことができず、属性も持ちません。しかし、彼女には「いろじかけ」という特技があり、これを使って敵からアイテムを盗むことができます。これにより、プレイヤーは希少なアイテムを入手することが可能になります。

「魔王」は、中世のガルディア王国を脅かす魔族のリーダーとして紹介されますが、その真の正体は、古代ジール王国の王子ジャキが成長した姿です。物語の中で、「ラヴォスを生み出して人間を滅ぼそうとした」と伝えられている魔王ですが、実際には自分と姉のサラの運命を狂わせたラヴォスに復讐しようとしています。魔王は、物語の終盤でプレイヤーの選択により、最後のパーティーメンバーとして加入することができるユニークなキャラクターです。

戦闘では、魔王は鎌を武器に使い、敵を回転しながら切り裂く能力を持っています。属性は冥属性でありながら、天・火・水・冥の全4属性の最強魔法を使用することができ、その魔力の値は非常に高いです。ただし、特定の条件下でしか、他の仲間との連携技を発動させることはできません。

原始時代(B.C.65000000)は、猿から進化した人間と恐竜から進化した恐竜人が存在していた非常に古い時代です。この時代、人間と恐竜人は「大地のおきて」に従って、生き残りをかけて争っていました。人間たちは小集落を形成し、竪穴建物を築いて住んでおり、基本的には狩猟採集の生活を営んでいたと思われます。一方で、恐竜人たちはより組織化されたコロニーを構築し、大集落を形成していたことが伺えます。人間社会は主に二つの部族に分かれていました。戦うことで恐竜人との存続を賭けたイオカ族と、恐竜人を恐れて森に隠れ住むラルバ族です。この時代の地球は活発な火山活動があり、平野やジャングルがその合間に広がっていたとされています。この時代の最大の特徴は、未来の世界に深い影響を与える重大な出来事が起こることです。赤い星、すなわち異星知性体ラヴォスが地球に墜落し、巨大なクレーターを形成しました。この出来事は後の時代においても大きな影響を与え、物語の中心的なテーマとなっています。

古代(B.C.12000)は、雪と氷に覆われた極寒の世界であり、現代には失われた「魔法」が日常的に使われていた時代です。この時代は、地球の大部分が海に覆われており、陸地は限られた範囲にしか存在していません。社会は、魔法を使えるかどうかで大きく二分されています。魔法を使える「光の民」は、浮遊大陸にある魔法王国ジールに住み、高度な文明の恩恵を享受して豊かな生活を送っています。彼らは魔法を日常のあらゆる面で活用し、その能力により自然を操るなどしています。一方で、魔法を使えない「地の民」は厳しい地上の環境で貧しい生活を送っています。地の民は魔法の恩恵からはほど遠い生活を強いられ、技術や魔法による支援が少ない中で自然と闘いながら生きています。この時代の差別は、魔法の能力の有無に基づいており、その分断は社会の基本的な構造となっています。古代のこの社会構造は、ゲームを通じて冒険者たちが直面する多くの問題や出来事の根底にある要因の一つです。特に、魔法王国ジールとその周辺の環境、そこで生活する人々の文化や生活様式は、ゲームの物語において重要な役割を果たしています。しかし、この時代の終わりには、大陸の大部分が海中に沈み、以降の時代に大きな影響を与える出来事が起こります。

中世(A.D.600)は、ガルディア王国暦600年を舞台にしています。この時代は、人間と魔物たちが争う戦乱の時代で、王国を中心に展開される物語が特徴です。人間側の主な希望の光として勇者サイラスが登場します。彼は青年剣士グレンと共に、世界の平和を脅かす魔王を討伐することを目指していますが、悲劇的にもサイラスは魔王軍に敗れてしまいます。この出来事は、人々に絶望をもたらし、時代の重大な転換点となります。中世の背景は、人間と魔物の対立というシンプルながらも深いテーマを持っており、『クロノ・トリガー』のストーリーにおいて重要な役割を果たしています。

ガルディア王国暦1000年（A.D.1000）は、ゲームの物語が始まる重要な時代です。この時代は、ガルディア王国が建国1000年を祝う千年祭が開かれており、平和そのものを象徴する時代として描かれています。電気、ガス、水道などのライフラインが普及していることから、技術的な進歩もそれなりに達成されていることが伺えます。物語の主人公である少年クロノは、この千年祭の会場で一人の少女と出会い、彼女との出会いが物語の大きな転換点となります。彼の幼馴染である科学者ルッカが発明したテレポッドという転送装置を介して、クロノは遥かなる時間を巡る冒険に旅立つことになります。このテレポッドを通じて、過去や未来へと時間旅行が可能となり、ゲーム全体のストーリーが展開されていくのです。

世界崩壊(A.D.1999)は、ゲーム内で重要なイベントとして描かれます。この時、地球は6000万年以上も地中深くに潜んでいた存在、ラヴォスによって死の星へと変わる瞬間を迎えます。A.D.1999年、ラヴォスの日の1時24分にラヴォスが地上に姿を現し、その力によって地球は壊滅的な打撃を受けます。ゲームでは、プレイヤーがこの時代にタイムワープすると、ラヴォスとの直接対決を除き、冒険の舞台として探索することはできません。また、ラヴォスとの戦いに敗れた場合、世界が滅ぼされる様子を描いたバッドエンディングが展開されます。この出来事は、プレイヤーがゲームを通じて目指すべき最終目標を形作っており、ラヴォスによる世界崩壊を阻止することが『クロノ・トリガー』の物語の核心です。主人公たちは過去、現在、未来を行き来し、ラヴォスの脅威に立ち向かうためにさまざまな時代で活動します。過去の行動が現在や未来に影響を与えるゲームシステムは、プレイヤーに時間を越えた壮大な冒険を体験させます。

A.D.2300年の世界は、壮大なストーリーの中で描かれる混沌とした時代です。この時代は、ラヴォスという名前の強大な生命体によってもたらされた破壊の後の時代として設定されています。かつて存在した地形や高度な文明はすべて崩壊し、世界は廃墟と化しています。国家や町といった人類の築いた文明の構造は、この時代においては既に存在しないとされ、生き残った人々はわずかに残されたシェルターで命をつないでいます。この時代の最も深刻な問題の一つは、食料の枯渇です。資源が極めて限られており、人々は生きる希望を失いつつあります。さらに、廃墟と化した街では、暴走した機械や環境の悪化によって生まれたミュータントが人々に脅威を与えています。かつて栄えた文明の痕跡は、このように危険と絶望に満ちた世界の中で、生き残りをかけた人々にとっての日常となっています。

時の最果ては、特別な役割を持っています。この空間は全ての時代に通じるものの、どの時代にも属していない、時空を超えた謎多き場所とされています。具体的には、「時の最果て」は物語を進める上でプレイヤーの拠点となります。ここでは、過去から未来に至るまでの異なる時代への旅が可能となり、時空を超えた冒険を支える重要な役割を担っています。