ゲームボーイアドバンス版『ナポレオン』携帯RTSの先駆けと隠し外伝解放の徹底ガイド

ゲームボーイアドバンスが鮮烈なデビューを飾った2001年春。薄曇りの空を映す小さな液晶画面には、軍帽をかぶったナポレオンが駿馬を駆り、騎兵の砂煙がリアルタイムに広がっていました。手のひらの中で部隊が走り、砲撃のドットが閃く。携帯機で“戦場を指揮する”という体験は、当時のプレイヤーに新鮮な驚きをもたらしました。

開発背景や技術的な挑戦

『ナポレオン』は元気が開発し、任天堂がパブリッシャーを務めたリアルタイムストラテジーです。日本では発売日の3月21日がGBA本体のローンチと重なり、携帯ゲーム初の本格RTSとして注目を集めました。64MbitROMに複雑なユニットAIとアニメーションを詰め込み、さらにモバイルアダプタGBを用いたオンラインランキングや追加データ配信にも対応するなど、当時としては野心的なネット連携を先取りしています。

プレイ体験

プレイヤーはナポレオン本人を操作し、戦場を奔走しながら歩兵・砲兵・騎兵の三兵科に指示を出します。砲撃の射程を見極めて前線を押し上げ、負傷兵をナポレオンの治癒コマンドで立て直し、最後に敵城に突入。この“本人が司令塔であり回復役でもある”設計が忙しさと達成感を同時に生み出します。史実を大胆に脚色したストーリーモードでは、雪男やオーガなど幻想的な敵も出現し、史実ファンを戸惑わせつつもゲーム的なアクセントとなっています。

評価の変遷

発売当時の雑誌レビューでは良作寄りの評価に留まり、同時期のほかのシミュレーション作品の陰に隠れがちでした。しかし近年、バーチャルコンソール配信や有志英語翻訳パッチの登場によって再注目され、“携帯機RTSのパイオニア”として再評価が進んでいます。テンポの速さと独自操作系を高く評価する声が増え、プレミアソフトとして中古市場でも人気が高まっています。

隠し要素や裏技

ストーリーモードには全七章の外伝ステージが存在し、第24話クリア時点で六人の指揮官全員の士気を「まんまん」以上に保つと外伝7が解放されます。外伝をすべて制覇すると真エンディングが出現し、称号画面に「天才伝説」が刻まれる仕組みです。また、敵部隊を逆方向に押し続けることで移動速度を低下させる小技が知られており、難度の高い終盤マップで重宝します。

他ジャンル・文化への影響

携帯機でリアルタイムストラテジーを成立させた設計思想は、その後の携帯機向けRTSやタッチ操作型シミュレーションのUIに影響を与えたといわれています。モバイルアダプタGBによるオンライン要素は短命に終わったものの、“携帯ゲームでネット連動”という発想はニンテンドーDS以降のWi‑Fi対応タイトルに受け継がれました。

リメイクでの進化

もし現代機でリメイクされるなら、タッチ操作やHD振動による“現場指揮の手触り”が大幅に向上し、Joy‑Conのおすそわけで協力指揮官モードも実現できそうです。オンライン対戦はもちろん、歴史シナリオDLCやユーザー生成マップ共有など、GBA版が志したネット連携を本格的に開花させる余地があります。加えて、史実寄りのシリアスルートと原作ファンタジールートを選択できれば、往年のファンと新規層の双方が楽しめるでしょう。

まとめ

『ナポレオン』はGBA黎明期に携帯機RTSの可能性へ挑んだ実験作です。操作の忙しさゆえに好みが分かれたものの、独創的なリアルタイム指揮と隠し要素の深さは今なお新鮮です。再評価の波に乗る今こそ、真エンディング解放まで遊び尽くし、その先駆的な設計思想を体感してみてはいかがでしょうか。

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