1985年、ゲームセンターの一角に設置された新作ゲーム『いっき』。その筐体からは、和風の音楽とともに農民たちの反乱が描かれ、プレイヤーたちは鎌を手に忍者と戦う独特の世界観に引き込まれました。当時のプレイヤーたちは、斬新な設定とゲーム性に驚きと興奮を覚えたことでしょう。
ゲームの背後にある物語
『いっき』は、サン電子(現・サンソフト)が開発し、1985年7月にアーケード向けにリリースされました。当時のゲーム業界では、ファンタジーやSFを題材にした作品が主流でしたが、『いっき』は日本の歴史的な百姓一揆をテーマに据えるという異色の作品でした。開発チームは少人数で構成され、限られたリソースの中で独自性を追求した結果、このようなユニークなゲームが誕生しました。
体験記
初めて『いっき』をプレイしたとき、農民の「ごんべ」を操作し、鎌を投げて忍者たちと戦うという斬新な設定に驚きました。ステージ内に散らばる小判を集めるシステムや、突然現れる幽霊や腰元に苦戦しながらも、次第に攻略法を見つけ出す楽しさがありました。特に、2人同時プレイで友人と協力しながら進めることで、より一層の盛り上がりを感じました。
時代ごとの評価と再評価
総合的な評価として、『いっき』は当時のゲームとしては斬新な8方向に自由に移動できる和風アクションゲームというアイデアが評価されました。しかし、そのゲーム内容や設定に多くのツッコミどころがあり、「クソゲー」という言葉の語源となったとも言われています。ポジティブな評価は約40%、ネガティブな評価は約60%とされています。
ポジティブな評価につながった要因として、まず、和風の世界観とユーモラスなキャラクター設定が挙げられます。農民が二人だけで一揆を起こすという突飛な設定や、敵キャラクターとして登場する忍者や幽霊、腰元などの個性的なキャラクターが、プレイヤーに独特の世界観を提供しました。また、8方向に自由に移動できるゲーム性や、ステージ内の小判を集めるシンプルな目的が、当時のプレイヤーに新鮮な体験を与えました。さらに、ゲーム中に登場するアイテムや敵キャラクターのユーモラスな動きが、プレイヤーに笑いを提供し、愛すべき「おバカゲーム」としての地位を確立しました。一方、ネガティブな評価につながった要因としては、ゲームバランスの問題が指摘されています。例えば、上位武器であるはずの「竹やり」を取ると、攻撃範囲が前方のみで至近距離となり、逆に弱体化してしまう点が挙げられます。また、たった二人で一揆を起こすという設定や、ステージクリアの条件が小判を集めることなど、ストーリーやゲーム内容に矛盾や不自然さを感じるプレイヤーも多かったようです。さらに、エンディングが存在せず、ゲームが永久ループする点も、プレイヤーの不満を招きました。これらの点について、評価者からは、ゲームバランスの改善や、ストーリーの整合性を高めること、明確なエンディングの設定などが望まれていました。
おすすめのプレイヤー像としては、レトロゲームやユーモラスなゲームが好きな方、独特の世界観やキャラクター設定を楽しめる方に向いています。また、ゲームの歴史や「クソゲー」と呼ばれる作品に興味がある方にも、一度プレイしてみる価値があるでしょう。さらに、シンプルな操作性とゲーム性を持つため、複雑なゲームが苦手な方や、短時間で楽しみたい方にもおすすめできます。ただし、ゲームバランスやストーリーの不自然さに寛容であることが求められます。
『いっき』は、その独特な世界観とゲーム内容から、発売から数十年経った現在でも語り継がれる作品です。2010年にはオンライン対応の『いっき おんらいん』がPS3向けに配信され、最大12人での協力プレイが可能となるなど、現代風のアレンジも加えられています。このように、時代を超えて愛される『いっき』は、ゲーム史において特異な存在と言えるでしょう。
発売当初、『いっき』はその独特なゲーム性と高い難易度から、賛否両論の評価を受けました。一部では「クソゲー」との批判もありましたが、これはイラストレーターのみうらじゅん氏が初めて使用した言葉として知られています。しかし、年月を経て再評価が進み、現在ではレトロゲームの名作として愛される存在となっています。その理由として、他に類を見ない独自の世界観や、シンプルながら奥深いゲーム性が挙げられます。
他ジャンルやカルチャーへの影響
『いっき』は、そのユニークな設定から、後のゲームやポップカルチャーに影響を与えました。特に、農民が主人公として活躍するという斬新なアイデアは、他の作品にもインスピレーションを与えたと言われています。また、「クソゲー」という言葉の起源としても知られ、ゲーム評論や文化においても一つの指標となりました。
もし現代にリメイクされたら?
現代の技術で『いっき』がリメイクされるとしたら、グラフィックの向上はもちろんのこと、オンラインでの協力プレイや、新たなステージやキャラクターの追加などが考えられます。また、当時の高難易度を踏襲しつつも、プレイヤーが遊びやすいような調整が施されることでしょう。実際、2023年には最大16人での同時プレイが可能な『いっき団結』が発売され、現代風にアレンジされた『いっき』が楽しめるようになっています。
攻略
プレーヤーは自機(農民の「ごんべ(権べ)」)を操作し、悪代官の屋敷に殴り込みにいきます。2人協力プレー時はプレーヤー2は「たご(田吾)」を操作します。途中、敵キャラクターとして忍者やイノシシなどが登場。悪代官を捕まえるとステージクリアとなります。全8面で最終面クリア後は1面に戻るループ仕様です。
操作方法
8方向レバー | 移動 |
ボタン1 | 鎌を投げる |
アイテム
アイテム | 効果 |
---|---|
巻物 | 白い巻物は得点。緑の巻物は竹槍、青い巻物は大根、ピンクの巻物1は葉っぱと相同。ピンクの巻物2は画面上の忍者を全滅させる。なお、緑の巻物は前方からの手裏剣に対して無敵になる。 |
おにぎり | 取得するとステージクリア後にボーナスステージにチャレンジできる。 |
鍵 | 捕虜を救出できる。 |
捕虜 | 鉄格子に閉じ込められた仲間。救出すると1UP。 |
千両箱 | スコアに加算。 |
総括
『いっき』は、その独特な世界観とゲーム性から、発売当初は賛否両論の評価を受けましたが、現在ではレトロゲームの名作として多くのファンに愛されています。農民が主人公として活躍するという斬新な設定や、シンプルながら奥深いゲームシステムは、他の作品にはない魅力を持っています。また、時代を超えてリメイクや再評価が行われていることからも、その影響力の大きさがうかがえます。『いっき』は、ゲーム史において特別な存在であり、今後もその魅力は語り継がれていくことでしょう。
データ
発売年 | 1985 |
メーカー | サン電子 |
開発会社 | サン電子 |
プラットフォーム | アーケード |
ジャンル | アクションシューティング |
プロデューサー | 不明 |
ディレクター | Mr. “K” |
作曲者 | 小井洋明 |
キャラクターデザイン | 不明 |
販売本数 | 不明 |