AC版『王将 芹沢八段の詰将棋』将棋ファン必見の名作

1982年にセガから発売されたアーケードゲーム『王将 芹沢八段の詰将棋』は、当時の将棋ファンに新たな体験を提供しました。プロ棋士・芹沢博文八段の監修のもと、詰将棋の奥深さとゲーム性を融合させた作品です。

開発の背景と技術的挑戦

1980年代初頭、アーケードゲーム業界は多様なジャンルのゲームが登場し、競争が激化していました。その中で、セガは知的ゲームとしての将棋に注目し、プロ棋士の監修を受けた本格的な詰将棋ゲームの開発に挑戦しました。限られたハードウェアリソースで複雑な将棋の動きを再現することは技術的な挑戦であり、特に駒の動きや成りの判定など、正確なルール実装が求められました。

芹沢八段とは

芹沢博文(せりざわ ひろぶみ、1936年10月23日生まれ、1987年12月9日逝去)は、日本の将棋棋士であり、棋士番号68を持ちます。静岡県沼津市出身で、高柳敏夫名誉九段の門下生として将棋界に入りました。小学校4年生の頃に将棋を覚え、わずか2年後には沼津の将棋大会で木村義雄十四世名人と二枚落ちで対局し、快勝したことで「神童」と称されました。14歳で入門し、19歳で四段に昇段、その後も順調に昇級を重ね、24歳でA級八段となりました。この昇進スピードは当時「若き天才」「俊英」と称されるほどのものでした。

棋士としての活動に加え、芹沢氏は文筆家やタレントとしても多彩な才能を発揮しました。テレビ番組では、1976年から1977年にかけて放送された『日曜天国』で司会を務め、また、クイズ番組『アイ・アイゲーム』の解答者としても活躍しました。さらに、1981年の映画『の・ようなもの』では俳優として出演し、その多才ぶりを示しています。

晩年には、作詞・伊奈二朗、作曲・山本寛之による『野風増』で歌手デビューも果たし、焼酎「おつだね」のCMでは長女と共演して「おつだね一杯、ぐいっ!」という台詞で親しまれました。また、1982年にはテレビ東京系時代劇『大江戸捜査網』第542話『待ったなし!二万両の王手』に、当代の将棋名人役で特別出演するなど、幅広いメディアで活躍しました。

当時の評価と現在の再評価

『王将 芹沢八段の詰将棋』は、1982年にセガから発売されたアーケードゲームで、プロ棋士・芹沢博文八段が監修した詰将棋ゲームです。このゲームは、当時としては珍しい将棋を題材としたアーケード作品であり、特に将棋ファンやパズル好きなプレイヤーから注目を集めました。

このゲームの評価を総合的に見ると、ポジティブな意見が多いですが、いくつかの改善点も指摘されています。おおよその割合でいうと、ポジティブな評価が全体の75%を占め、残りの25%がネガティブな意見といったところでしょう。

ポジティブな評価の要因として挙げられるのは、詰将棋の多様性と挑戦のしがいがある構成です。3手詰から13手詰まで、多段階の問題が用意されており、初心者から上級者まで幅広いプレイヤー層が楽しめる作りになっています。また、初級、中級、上級といった難易度設定が明確で、自分の実力に応じて選べる点も評価されています。さらに、問題を解いた後に芹沢八段から「級」「段」の認定を受けるシステムが導入されており、これがプレイヤーのやる気を引き出す重要な仕組みとなっています。制限時間内に詰将棋を解くという緊張感や達成感も、ゲーム体験を豊かにする大きな魅力と言えるでしょう。一方で、ネガティブな評価としては、操作性に関する不満が多く見られます。駒の操作はボタンで行う形式で、さし手、成り、例題、取り消しの4つのボタンを駆使する必要があるため、慣れるまで時間がかかるという意見が多いです。特に、アーケードゲームとしては直感的な操作感が求められるため、この点が改善点として挙げられています。また、制限時間が短めに設定されているため、じっくり考えながらプレイしたいプレイヤーにはストレスとなる場合もあるようです。これに対して、時間調整機能や、より直感的に操作できるインターフェースの導入を望む声が多くあります。

このゲームは、詰将棋やパズルが好きなプレイヤーに特におすすめです。特に将棋を趣味としている方や、時間内に思考力を試されるゲームが好きな方にはうってつけの内容です。難易度が幅広く設定されているため、初心者も楽しみやすく、同時に上級者でも満足できる歯ごたえのある問題が揃っています。

レトロな雰囲気を楽しみつつ、将棋の奥深さに触れられる『王将 芹沢八段の詰将棋』は、今なお将棋ファンの間で語り継がれる名作といえるでしょう。

発売当時、『王将 芹沢八段の詰将棋』は知的ゲームとして注目を集めました。しかし、アーケードゲームの主流がアクションやシューティングであった時代背景もあり、一般的なゲーマーからの支持は限定的でした。現在では、レトロゲームとして再評価され、将棋ファンやゲームコレクターの間でその独自性が再認識されています。

ゲーム業界への影響と遺産

『王将 芹沢八段の詰将棋』は、知的ゲームの可能性を示した先駆的な作品として評価されています。その後の将棋ゲームやパズルゲームの開発に影響を与え、知的娯楽としてのゲームの多様性を広げる一助となりました。

現代リメイクへの期待

もし本作が現代にリメイクされるとしたら、オンライン対戦機能やAIによる対局解析、さらにはスマートフォン対応など、現代の技術を活用した新たな要素が加わることでしょう。また、グラフィックやインターフェースの向上により、より直感的で快適なプレイが期待できます。

まとめ

『王将 芹沢八段の詰将棋』は、将棋の奥深さとゲーム性を見事に融合させた作品です。知的挑戦を提供するゲームとして、今なお多くのファンに愛され続けています。その独自性と先駆性は、ゲーム史において特別な位置を占めています。

データ


『王将 芹沢八段の詰将棋』の発売年、メーカー、開発などのデータです。

発売年1982
メーカーセガ
開発会社豊栄産業
プラットフォームアーケード
ジャンル詰将棋
プロデューサー不明
ディレクター不明
作曲者不明
キャラクターデザイン不明
販売本数不明

(C)SEGA