アーケード版『Hi-Way』 初の座席型キャビネットを採用したレースゲーム

1975年、アーケードゲームの黎明期に、プレイヤーたちは新たな体験を求めてゲームセンターに足を運んでいました。その中でひときわ目を引いたのが、アタリ社の『Hi-Way』というドライビングゲームでした。シンプルな白黒の画面ながらも、リアルな運転感覚を提供するこのゲームは、多くの人々を魅了しました。

開発背景と技術的挑戦

『Hi-Way』は、アタリが1975年にリリースしたシングルプレイヤーのアーケードレーシングゲームで、同社初の座席型アーケードキャビネットを採用した作品です。これは、プレイヤーに実際の運転席に座っているかのような没入感を提供するもので、当時としては革新的な試みでした。また、トランジスタ・トランジスタ・ロジック（TTL）を使用したディスクリート回路設計で構築されており、マイクロプロセッサを使用しない技術的挑戦が行われていました。

プレイ体験

プレイヤーはステアリングホイールとアクセルペダルを操作し、ハイウェイ上で他の車両を避けながら走行します。画面は縦スクロールで、上から下へと道路が流れていきます。衝突を避けつつ、できるだけ長く走行距離を伸ばすことが目的で、シンプルながらもスリリングな体験が味わえました。

初期の評価と現在の再評価

『Hi Way』は、1975年にアタリが開発・発売したアーケードゲームで、世界初の一人称視点のレーシングゲームとして知られています。プレイヤーは車を操作し、交通量の多いハイウェイを走行しながらスコアを稼ぐことを目的とします。シンプルなゲームながら、当時としては斬新な視点を採用し、アーケードゲームの歴史に名を刻んだ作品です。

レースゲームとしては直線のハイウェイをひたすら走るだけのシンプルな内容ですが、他車を避けながらスピードを維持する緊張感が特徴です。また、筐体は座席型アーケードキャビネット呼ばれる大型の設計になっており、アーケードゲームとしての存在感も抜群でした。現在ではレトロゲームのコレクターやアーケード愛好家の間で語り継がれる作品です。ポジティブな評価が70%、ネガティブな評価は30%となっています。

最も評価されているのは、当時としては革新的だった一人称視点の採用です。これ以前のレーシングゲームは横から見た視点や斜め見下ろし型が主流でしたが、本作はドライバーの視点で進行するため、没入感が大幅に向上しました。この技術革新が後の3Dレースゲームの発展につながったとも言われています。操作自体もシンプルで直感的なため、誰でもすぐに楽しめる点が好評です。アクセルとステアリングを駆使しながら他車を避けていくゲーム性は、短時間でも熱中できるよう設計されており、アーケードゲームらしい「ついついもう一回遊びたくなる」中毒性があります。また、筐体のデザインも特徴的で、当時のアーケードゲームとしては珍しい実際にバイクのように座ってプレイする設計が採用されていました。この物理的な没入感は、他のレーシングゲームとは異なるユニークな体験を提供し、多くのプレイヤーに印象を残しました。

一方で、ゲーム内容が非常にシンプルであるため、長時間プレイすると飽きやすいという指摘があります。基本的にハイウェイを走るだけのゲームで、コースの変化や特別なギミックがほとんどないため、現代のレーシングゲームと比べると単調に感じることは否めません。また、操作性がやや難しく、他車との接触判定がシビアな点も一部のプレイヤーにはストレスとなったようです。特にスピードを上げるほど障害物を避けるのが困難になり、クラッシュするとすぐにゲームオーバーになってしまうため、初心者には厳しいバランスになっています。もう少し緩やかな難易度設定や、回復要素があれば遊びやすかったとの意見もあります。

クラシックなアーケードゲームに興味がある人や、レトロなレーシングゲームを体験したい人におすすめの作品です。特にゲーム史における技術革新に興味がある人にとっては、初の一人称視点のレースゲームという歴史的価値のあるタイトルとして、一度プレイしてみる価値があります。また、シンプルな操作で短時間でも楽しめるため、カジュアルにゲームを楽しみたい人にも向いています。現在ではオリジナルの筐体を見つけるのは難しいですが、レトロゲームイベントやアーケードゲーム博物館などでプレイできる機会があるかもしれません。興味がある人は、ぜひ当時のアーケード体験を味わってみてください。

影響と遺産

『Hi-Way』は、座席型キャビネットを採用した初のアーケードゲームとして、その後のドライビングゲームやシミュレーションゲームに多大な影響を与えました。プレイヤーに没入感を提供するためのハードウェアデザインの重要性を示し、後続のゲーム開発における標準を確立しました。

まとめ

『Hi-Way』は、アーケードゲームの初期において革新的な試みを行った作品として、その歴史的価値は高いと言えます。シンプルなゲーム性ながらも、座席型キャビネットによる没入感やリアルな運転体験を提供し、多くのプレイヤーを魅了しました。現代の視点から見ると、その技術的挑戦やデザインは、後のゲーム開発における礎となったことが分かります。

© 1975 Atari, Inc.