アーケード版『平安京エイリアン』の魅力と攻略法を徹底解説!

平安京エイリアン

1979年、ゲームセンターの喧騒の中、ひときわ異彩を放つゲームが登場しました。その名は『平安京エイリアン』。プレイヤーは平安時代の警察官「検非違使」となり、碁盤目状の迷路でエイリアンを捕らえるという斬新な内容は、多くのゲーマーたちを夢中にさせました。シンプルながらも奥深いゲーム性は、当時のゲームファンに強烈な印象を残しました。

開発の背景

『平安京エイリアン』は、東京大学の学生グループである理論科学グループ(TSG)によって開発されました。当初はApple II向けに制作され、その後、TK-80BSやPC-8001、MZ-80K/Cなどのプラットフォームに移植されました。1979年11月の駒場祭で公開され、翌1980年1月には電気音響からアーケード版がリリースされました。東大生が開発したゲームとして各メディアで取り上げられ、大きな話題となりました。

ゲームセンターあらし

このゲームと『ゲームセンターあらし』には密接な関係があります。『ゲームセンターあらし』は、1980年代に人気を博したすがやみつる作の漫画で、当時のアーケードゲームや家庭用ゲーム機を題材にした作品です。この漫画は、ゲームに熱中する少年「あらし」を主人公に、さまざまなゲームを舞台にした熱血ストーリーが展開されます。『平安京エイリアン』は、『ゲームセンターあらし』にも登場する重要なゲームのひとつです。特にテレビアニメ版『ゲームセンターあらし』の第6話「爆走!!恐怖のブルートレイン」では、『平安京エイリアン』が取り上げられています。このエピソードでは、ナンドー会長の息のかかった集団がブルートレインをジャックし、爆弾が爆発する危機に瀕します。あらしはこの状況を打開するために『平安京エイリアン』で勝負することになりますが、重い鎧を着せられたことで、得意技であるムーンサルトが封じられてしまうという展開が描かれています。

当時の評価と現在の再評価

総合的な評価としては、戦略性と独自のゲームシステムが高く評価されており、ポジティブな意見が約70%を占めています。一方、難易度の高さや制限時間の厳しさに対するネガティブな意見が約30%見られます。

ポジティブな評価の要因として、まず挙げられるのはその戦略性です。プレイヤーはエイリアンの動きを予測し、適切な場所に穴を掘って待ち伏せる必要があります。この「待ち」の要素がゲームに深みを与え、単純なアクションゲームとは一線を画しています。また、2人同時プレイが可能であり、協力プレイや対戦プレイを通じて友人と盛り上がることができる点も高く評価されています。さらに、スーパーファミコン版では新たな要素として、特定のブロックを破壊するとアイテムが出現し、プレイヤーの能力を一時的に強化するシステムが追加され、ゲームの幅が広がりました。一方、ネガティブな評価の要因としては、制限時間の厳しさが挙げられます。ゲーム内での制限時間が明示されておらず、時間切れになるとエイリアンの数が増殖し、プレイヤーにとって不利な状況が突然訪れます。この仕様により、プレイヤーは常に時間を意識しながらプレイする必要があり、緊張感が増す一方で、ストレスを感じるという意見もあります。また、エイリアンの動きが予測しづらく、難易度が高いと感じるプレイヤーも多いようです。これらの点について、評価者からは制限時間の明示や難易度設定の調整など、プレイヤーにとってもう少し親切な設計が望まれているようです。

このゲームは、戦略的思考や冷静な判断力を持つプレイヤーに特におすすめです。エイリアンの動きを観察し、最適なタイミングで行動する必要があるため、計画的なプレイを好む方に向いています。また、レトロゲームや独特なゲームシステムに興味がある方、そして友人と協力してゲームを楽しみたい方にも適しています。その独自のゲーム性と高い戦略性は、現代のゲームにはない新鮮な体験を提供してくれるでしょう。

発売当時、『平安京エイリアン』はその独創的なゲーム性と、東大生が開発したという話題性から高い評価を受けました。しかし、後年になると他の名作に埋もれ、知名度は次第に低下しました。それでも、近年のレトロゲームブームにより再評価が進み、Steamなどのプラットフォームで配信されるなど、再び注目を集めています。

影響と遺産

『平安京エイリアン』は、ディフェンス系ゲームの草分け的存在として、その後のゲームデザインに影響を与えました。また、東大生が開発したゲームとして、学術的な視点からも注目され、ゲーム開発におけるアマチュアの可能性を示す例となりました。

現代向けのリメイクの可能性

もし『平安京エイリアン』が現代にリメイクされるとしたら、オンライン協力プレイや、エイリアンのAIの高度化、新たなステージやアイテムの追加などが考えられます。また、グラフィックやサウンドの強化により、より没入感のあるゲーム体験が提供できるでしょう。さらに、スマートフォン向けの操作性を考慮したデザインも期待されます。

攻略

『平安京エイリアン』は、単純ながらも戦略性に富んだゲーム設計が魅力です。エイリアンを撃退するための動作や配置、タイミングには熟練が必要で、プレイヤーの判断力が試されます。さらに、ステージが進むごとに難易度が上昇し、プレイ中は常に緊張感が漂います。その一方で、巧みな操作が成功した際の達成感は格別で、多くのゲーマーを引きつけてやみません。

ゲーム内容

『平安京エイリアン』でのプレイヤーの目的は、平安京に侵入したエイリアンを穴に落として埋め、すべてのエイリアンを撃退することです。プレイヤーは碁盤目状の通路上で検非違使を操作し、穴を掘ってエイリアンを待ち伏せします。エイリアンを穴に落とすだけでなく、埋めて通路の状態に戻すことが必要です。また、2人プレイでは交互プレイや協力プレイが選択でき、得点システムやエイリアンの増加などの要素がゲームの難易度を高めています。

ストーリー設定

『平安京エイリアン』の世界観は平安時代の京都、つまり平安京を舞台としています。この時代は、794年から1192年まで続いた日本の歴史上の一時代で、文化と政治が花開いた時期でもあります。ゲームはこの時代背景を活かし、プレイヤーは平安京の治安を守る役職である「検非違使(けびいし)」を操作します。検非違使は平安時代に実在した役職で、主に犯罪の取り締まりや警備を担当していました。この役職は、平安京の治安を守るために重要な役割を果たしており、ゲーム内でもプレイヤーは検非違使として平安京に侵入したエイリアンを撃退する任務を負います。

ゲームのストーリーは、突如として平安京に現れた謎の存在「エイリアン」との戦いに焦点を当てています。エイリアンがどこから来たのか、なぜ平安京に現れたのかは明確にはされておらず、プレイヤーはその脅威に立ち向かうことが主な目的となります。エイリアンたちは、まるで闇夜に潜む脅威のように平安京の通路を徘徊し、住民たちを恐怖に陥れます。プレイヤーは、検非違使としてこれらのエイリアンを撃退するために、碁盤目状の通路を巡りながら戦います。エイリアンを撃退する方法は単純ながらも独創的で、通路上に穴を掘り、エイリアンをその中に落とし、さらに穴を埋めて完全に撃退します。

ゲームシステム

プレイヤーの操作は、4方向レバーと2つのボタンを使用します。レバーを使って検非違使を上下左右に移動させ、ボタンを使って穴を掘る、または埋める動作を行います。検非違使は直接的な攻撃手段を持たず、エイリアンを撃退するためには穴を掘って罠を仕掛ける必要があります。

ゲームの舞台となる通路は碁盤目状に配置されていますが、全てが規則的に配置されているわけではなく、L字型や行き止まりも存在します。通路の幅は常に1マスであり、検非違使もエイリアンも通路の外に出ることはできません。この制約が、戦略的なプレイを求められる要因の一つです。

穴を掘る動作は、ボタンを押すごとに5段階まで拡張できます。最初にボタンを押すと小さな穴ができ、連続してボタンを押すことで穴が大きくなります。最大の大きさになったときのみ、エイリアンを穴に落とすことができます。注意すべき点は、検非違使自身は掘った穴の上を通ることができないということです。また、エイリアンが未完成の穴の上を通過すると、その穴は消滅してしまいます。エイリアンを穴に落とすだけでは撃退できません。穴に落ちたエイリアンを埋めて通路の状態に戻すことで初めて撃退となります。埋める動作も5段階に分かれており、完全に埋めるまでに時間がかかります。さらに、エイリアンは一定時間が経過すると穴から這い上がって復活するため、迅速に埋めることが求められます。また、他のエイリアンが穴の中の仲間に接触すると、即座に救出されてしまうため、プレイヤーは周囲の状況を常に注意深く観察する必要があります。

エイリアンはステージが進むごとに数が増加し、最初は4匹から始まり、次第に6匹、8匹と増えていきます。エイリアンが16匹に増殖すると、事実上のタイムアウトとなります。また、エイリアンに接触すると検非違使がミスとなり、残機が減ります。再開時にはミス直前のエイリアンの数が維持されます。

ゲーム画面

左上には現在のスコアが「SCORE」として表示されており、中央上部には「HI-SCORE」としてこれまでの最高得点が表示されています。画面の大部分を占めるのは青い迷路で、プレイヤーキャラクターがこの迷路内を移動します。画面中央付近に黄色い人型のキャラクターが見えますが、これはプレイヤーが操作するキャラクター(検非違使)です。迷路内には赤いキャラクターが複数見られ、これがエイリアンで、プレイヤーはこれらのエイリアンを撃滅することが目的です。画面下部には「CREDIT」として現在のクレジット数。左下にはプレイヤーキャラクターのアイコンが2つ表示されており、これはプレイヤーの残機を示しています。

得点システム

得点システムも重要な要素です。エイリアンを穴に落とし、埋めることで得点が加算されます。穴に落としてから埋めるまでの時間が短いほど高得点が得られるため、素早い動作が求められます。また、ハイスコアを達成するとネームエントリーが可能で、この際には検非違使を操作して文字のある道を通過するという凝った演出が用意されています。

2人同時プレイ

2人プレイでは、交互プレイ(Part1)と協力プレイ(Part2)が選択できます。交互プレイでは1人ずつ交代でプレイし、協力プレイでは2人が同時にプレイしてエイリアンを撃退します。

パターン

『平安京エイリアン』のゲームには9種類のパターンがあります。各パターンには異なるエイリアンの数と得点、そしてスピードが設定されています。10番目のパターンは最初のパターンに戻り、無限に繰り返されます。また、各パターンに1回つき、1,000点のボーナスが与えられます。最高得点者は、自分の名前を記入することができます。スコアは、999,999点迄得点可能。

パターンエイリアンの数得点スピード
14100〜300normal
26100〜300normal
38100〜300normal
44300〜500speed up
56300〜500speed up
68300〜500speed up
74500〜700more speed up
86500〜700more speed up
98500〜700more speed up

テクニック

『平安京エイリアン』には複数のテクニックがあります。「隠居掘り」は自分の前後に穴を掘り死角をなくす方法です。「アキバ掘り」は十字路の中央に位置し、4方向に穴を掘る初心者向けの技です。「長野掘り」は丁字路の交差点に穴を掘ることでエイリアンの動きを制限します。「心臓掘り」はエイリアンのタイミングを計算して掘る技、「伊藤掘り」はエイリアンが新しい穴に落ちるのを待って即座に埋める技です。「イゲタ掘り」はイゲタ状に穴を掘り、多方向のエイリアンに対処します。

隠居掘り

「隠居掘り」は、検非違使の前後に穴を掘ることで、不意打ちを防ぎ、エイリアンからの攻撃を効果的に避ける方法です。具体的には、検非違使が進む方向の直前と直後にそれぞれ穴を掘ります。これにより、エイリアンが近づいてきたときに前後の穴に落ちやすくなり、安全な位置で待ち構えることができます。隠居掘りの利点は、エイリアンが複数の方向から接近する場合でも、一時的に安全な場所を確保できる点にあります。特にエイリアンが多数出現するステージでは、このテクニックが非常に有効です。しかし、隠居掘りには注意点もあります。エイリアンが2匹以上で来る場合、最初のエイリアンが穴に落ちても、次のエイリアンがすぐに仲間を助けに来るため、逃げ道がなくなりやすいのです。このため、エイリアンが多い局面では隠居掘りだけで対応するのは難しく、他のテクニックとの組み合わせが必要になります。

アキバ掘り

「アキバ掘り」は、十字路の中央に検非違使を配置し、4方向の次の十字路に穴を掘る方法です。この配置は、JR秋葉原駅の形状に似ていることから「アキバ掘り」と名付けられました。アキバ掘りの利点は、エイリアンが穴に落ちやすくなる点です。4方向に均等に穴を配置することで、どの方向からエイリアンが来ても、必ずどこかの穴に落ちる可能性が高まります。これは、エイリアンが複数同時に接近してくる場合でも効果的で、エイリアンの動きを分散させることができます。しかし、アキバ掘りには欠点もあります。それは、逃げ道が制限されることです。四方に穴を掘るため、検非違使が移動できるスペースが少なくなり、エイリアンに囲まれた場合の回避が難しくなります。そのため、アキバ掘りを使用する際には、エイリアンの動きを予測し、適切なタイミングで穴を掘ることが重要です。

長野掘り

「長野掘り」は、エイリアンの動きを利用した戦術です。丁字路(T字型の交差点)で行われるこのテクニックでは、エイリアンが直線的に動く傾向を利用します。丁字路の交差点部分に穴を掘り、検非違使はその一方側に位置します。エイリアンはプログラム上、直線区間を動く確率が高いため、丁字路の交差点に来るとそのまま直進することが多くなります。この方法では、エイリアンが直線区間を進む確率が高いため、他の方向に曲がってこないことを前提にしています。つまり、交差点に掘った穴にエイリアンが落ちる可能性が高くなります。また、エイリアンが穴を埋めてしまった場合でも、検非違使がいる側には来ないため、安全に次の動作を行うことができます。ただし、このテクニックにはリスクも伴います。エイリアンが多くなりすぎると、丁字路の穴に複数のエイリアンが同時に来る可能性が高まり、その結果、一部のエイリアンが穴を無視して検非違使に向かってくることがあります。このテクニックは、長野県出身のTSGメンバーが編み出したことから「長野掘り」と名付けられました。

心臓掘り

「心臓掘り」は、エイリアンの動きとタイミングを精密に計算しながら行う技です。エイリアンが迫ってくる状況で、プレイヤーは迅速かつ正確に穴を掘り、エイリアンを罠にかける必要があります。この技の難しさは、エイリアンが穴に落ちるまでのタイミングを見極めることにあります。失敗すると、エイリアンに接触してミスとなるため、プレイヤーの集中力と反射神経が試されます。また、穴を掘るタイミングが少しでも遅れると、エイリアンが穴を通過してしまうか、掘った穴に引っかからずにプレイヤーに迫ってきます。そのため、正確なタイミングと場所を見極め、冷静に対処することが求められます。心臓掘りは、その名の通りプレイヤーの心臓に負担がかかるような緊張感のある技であり、成功したときの達成感もひとしおです。このテクニックをマスターすることで、エイリアンの多いステージでも効率よく対処できるようになります。

伊藤掘り

「伊藤掘り」とは、エイリアンを効率よく撃退するための高度なテクニックです。この方法では、まずエイリアンをひとつの穴に落としますが、すぐに埋めるのではなく、エイリアンが這い上がるのを待ちます。エイリアンが穴から這い上がった瞬間に、その隣に新しい穴を掘ります。エイリアンは這い上がってから再び隣の新しい穴に落ちるため、このタイミングで即座に埋めることが可能です。伊藤掘りの利点は、エイリアンを効率的に連続して撃退できる点にあります。エイリアンが一度に複数出現する場合や、エイリアンの動きが速くなったステージでは特に有効です。落としたエイリアンがすぐに這い上がる前に新しい穴に落とし込むことで、時間を節約し、高得点を狙うことができます。このテクニックは、東大TSGのメンバーである伊藤氏が考案したことからその名が付けられました。『ゲームセンターあらし』という漫画でも紹介され、あらしがこの技を使うシーンが描かれています。

イゲタ掘り

「イゲタ掘り」は、通路上の一区画に存在する十字路4つに対して、隣接する2方向、計8方向に穴を掘ることで、イゲタ(井桁)状の形を作ります。この配置により、エイリアンがどの方向から進入しても、必ず穴に引っかかるようになります。イゲタ掘りの大きな利点は、エイリアンが穴に落ちやすいだけでなく、検非違使が穴に挟まれた状況でも逃げ道が確保される点です。さらに、伊藤掘りを組み合わせることで、効率的にエイリアンを処理することが可能です。エイリアンが穴から這い出しても、必ず同じ方向に進むため、再び新しい穴に落としやすくなります。ただし、この技術は穴を掘る位置とタイミングが重要で、エイリアンの動きを予測しながら迅速に掘る必要があります。特にエイリアンが増えてくる後半のステージでは、イゲタ掘りを効果的に使うことで、戦局を有利に進めることができます。

まとめ

『平安京エイリアン』は、シンプルながらも戦略性の高いゲーム性と、独自の世界観で多くのプレイヤーを魅了しました。東大生が開発したという背景も相まって、ゲーム史に残る名作として語り継がれています。現代のゲームと比較しても、その独創性と完成度は色あせることなく、今なお新鮮な驚きを提供してくれます。個人的にも、初めてプレイしたときの緊張感と達成感は忘れられない思い出です。

データ

『平安京エイリアン』の発売年、メーカー、開発などのデータです。

発売年1980
メーカー電気音響
開発会社東京大学 理論科学グループ(TSG)
プラットフォームアーケード
ジャンル固定画面アクション
プロデューサー不明
ディレクター不明
作曲者不明
キャラクターデザイン不明
販売本数不明