『ドンキーコングJR.』は、1982年に任天堂からリリースされたアーケードゲームです。このゲームは、前作『ドンキーコング』の続編であり、役割が逆転しています。以前は敵役だったマリオが今回は悪役となり、ドンキーコングの息子であるドンキーコングJR.が、誘拐された父親を救うための冒険に出ます。
『ドンキーコングJR.』とは
『ドンキーコングJR.』は、宮本茂氏と横井軍平氏によって主に設計されました。宮本氏はこのタイトルのグラフィックも作成し、音楽は兼岡行男氏によって作曲されました。
ゲーム内容
『ドンキーコングJR.』はアクションゲームで、ユニークな合計4つのステージがあります。ドンキーコングJR.は左右に走ったり、ジャンプしたり、画面上方に登るためにツタやチェーンを掴むことができます。敵には、目の付いた罠のような「スナップジョーズ」、卵を落として攻撃する鳥のような生物「ニットピッカー」などがいます。プレイヤーはこれらの敵を避けるか、果物を落として全ての敵を撃滅することができます。
ストーリー設定
マリオに敗れたドンキーコングは森の中の檻に閉じ込められます。ドンキーコングの息子であるドンキーコングJR.は、父を救うためにマリオに立ち向かいます。マリオはドンキーコングをヘリコプターで彼のアジトに運び、ドンキーコングの鎖の鍵を建物の周りに配置します。ドンキーコングJR.は複数の敵に攻撃されますが、それらをかわして父を救出します。
キャラクター | 概要 |
---|---|
ジュニア | 主人公(プレイヤーキャラクター)です。前作の悪役であったドンキーコングの息子です。 |
パパ | 別名は「ドンキーコング」です。本作での救出対象であり、前作でのレディの役目にあたります。 |
マリオ | 前作の主人公で、本作の悪役です。今作から個人名が付けられ、常に鞭を持っており、敵キャラクターをジュニアに突撃させます。アーケード版では2人のマリオがドンキーコングを搬送する開始デモが存在します。 |
スナップジョー | 1面と4面の敵キャラクターです。赤色もしくは青色の機械ワニです。 |
ニットピッカー | 2面と4面の敵キャラクターです。2面ではワシの姿で飛行し、卵を投下します。4面ではカラスの姿で登場します。 |
スパーク | 3面の敵キャラクターです。オレンジ色もしくは青色の電気物体で、それぞれ姿が異なります。 |
ゲームシステム
『ドンキーコングJR.』は、4面を1周とする構成のアクションゲームです。プレイヤーは4面すべてをクリアすると、難易度が上がった状態で1面から再びスタートするループ制です。このゲームは、前作のジャンプ中心のアクションから変化し、ツタを使った上昇や下降のアクションが特徴的です。ツタを上る際は、2本のツタを両手で掴むことで速く上昇でき、下る際は1本のツタにしがみついて素早く下降することができます。ゲーム中、ジュニアは敵を攻撃するための武器として、ステージ各所に配置された果物を利用します。4面では、ドンキーコングが閉じ込められた檻の鍵を押し上げて開錠します。ゲームプレイ中に敵に触れたり、水に落下したりするとミスになります。
ゲーム画面
画面の上部には、スコアリングに関する情報が表示されています。「1UP」という文字の下には現在のプレイヤースコア、その右側には「HIGH SCORE」という文字とその下に現在のハイスコアを表示しています。画面の右上隅には「BONUS」、その横にある「L」は現在のレベルを表しています。BONUSの上にあるジュニアのアイコンは残機です。
操作方法
操作方法は、方向レバーとジャンプボタンを使用します。プレイヤーはドンキーコングJR.を左右に動かし、ジャンプや蔦を掴んで移動することができます。敵を避けたり、障害物を乗り越えたりすることで、各ステージを進んでいきます。ゲームの目的は、最終ステージでドンキーコングを救出することです。
ステージ構成
1面
主人公ジュニアが画面の左下隅からスタートし、上部にある檻に閉じ込められた父親、ドンキーコングを救うために様々なツタと段差を渡っていきます。プレイヤーは最初のツタを掴み、青いスナップジョーという敵を避けながら登る必要があります。これらの敵はツタを下りてくるので、プレイヤーは戦略的にツタを切り替えて敵を避ける必要があります。また、ツタの途中には果物が配置されており、ポイントを得たり敵に対して使うことができます。進むにつれて、プレイヤーは小さな段差を飛び越えて画面の右端に到達する必要があります。これには正確なジャンプとタイミングが求められ、特にツタを守るスナップジョーには注意が必要です。プレイヤーは途中の果物、例えば梨やリンゴを使って、一度倒すと戻ってこない赤いスナップジョーを倒すことができます。ただし、バナナのような果物を取ることは得点を獲得できる一方で敵との接触リスクがあります。このステージの最終局面は、最も右のツタを登り、枝を超えて残っているスナップジョーを避けることです。
ステージは、ジュニアが枝の高い部分に飛び上がり、鍵を掴めばクリアとなります。
2面
このステージでは、画面の下部にスプリングボードが設置され、ドンキーコングJR.が対岸の樹上に到達するためのショートカットとして機能します。プレイヤーは、ジュニアを様々な段差とチェーンを移動させて、卵を投げる小さなニットピッカーという鳥のような敵を避けながら進む必要があります。スプリングボードを効果的に使うためには、正確なタイミングが重要。
ジュニアが2番目の伸縮するツタを最も低い位置で掴んだ後、さらに進んで鎖に到達し、ニットピッカーを避けながらステージの終わりにある鍵に到達する必要があります。
3面
ステージ構成はシンプルですが、電気的なトラップがあります。プレイヤーの脅威は「スパーク」と呼ばれる敵です。これらのスパークは、ジュニアが地上にいる時だけでなく、頭上を通過する時も危険です。プレイヤーはしばしば、地上のスパークを飛び越えることに集中し、気づかないうちに頭上のスパークと接触することがあります。
左からスタートし、右へ渡り、上に登り、再び左へ渡り、もう一度登り、このパターンを続けて鍵を手に入れて進む必要があります。赤いスパークは決められたループを辿りますが、青いスパークは画面の上から下へと垂直に移動し、マリオの下にある4つの経路の中からランダムに移動します。各段にはフルーツがあり、点数の獲得やスパークを排除する手段として利用できます。しかし、スパークに対してフルーツを効果的に使用するには、タイミングが重要です。また、プレイヤーはスパークに囲まれたり、行き止まりに追い込まれたりしないよう、周囲の状況を常に意識する必要があります。
4面
このステージでは、ジュニアの主な目的は、鍵がかかった檻に閉じ込められた父親、ドンキーコングを救出することです。鍵はチェーンの下に位置し、ジュニアはそれらを上に押し上げて鍵穴に挿入し、父を解放する必要があります。ステージは、マリオによって送り込まれた赤いスナップジョーと大きなニットピッカーという敵の存在により難易度が上がっています。大きなニットピッカーは画面を横切って飛び、段差を下げて方向を変えながら攻撃します。ジュニアが一度に2つの鍵を押し上げるのは時短になりますが、スナップジョーとの接触リスクが倍増します。
すべての鍵穴が解除されると、ドンキーコングが解放され、ジュニアが彼をキャッチします。これでステージは終了し、難易度がアップした1面から再開します。
© 1982 Nintendo
データ
このタイトルの基本情報です。
発売年 | 1982 |
プラットフォーム | アーケード |
ジャンル | アクション |
プレー人数 | 1-2人(交互) |
メーカー | 任天堂 |
開発会社 | 任天堂 |
プロデューサー | 横井軍平 |
ディレクター | 宮本茂 |
シナリオ | |
グラフィック | 宮本茂、坂本賀勇 |
サウンド | 兼岡行男 |
販売数 | |
受賞歴 |
評価
『ドンキーコングJR.』は、当時としては斬新なゲームデザインでプレイヤーに新鮮な体験を提供しました。特に、ツタの掴み方によって移動速度が変わるという点は、ユニークです。また、このゲームはマリオが珍しく悪役を務める作品としても知られており、ドンキーコングの息子である「ジュニア」が主人公となっています。このキャラクターセッティングは、現在では信じられないようなキャスティングであり、ゲーム史においても興味深い一面を持っています。しかしながら、一部の評価ではゲームの飽きやすさや、夢中になれない点が指摘されており、総合的な評価は、賛否がわかれています。
総合的には、ユニークなゲームデザインとキャラクター設定が話題となりながらも、一部のプレイヤーには物足りなさを感じさせるかもしれません。このゲームは、レトロゲームや任天堂の歴史的なタイトルを体験したいプレイヤーにおすすめです。特に、前作『ドンキーコング』のファンや、異色のキャラクター設定に興味を持つプレイヤーにとっては、『ドンキーコングJR.』は特に魅力的な選択肢となります。
分析の元データは、インターネット上の書き込み情報などを可能な限り収集。相当量の情報を元に解析を実施しています。