ゲームセンターの喧騒の中、ひときわ目を引くファンタジーの世界が広がっていました。プレイヤーたちは剣士ロイや槍使いのアーノルドとなり、魔物たちとの激闘に身を投じていました。彼らの目的は、さらわれたアーノルドの妹エミリアを救出すること。冒険の幕が上がる瞬間、館内にはエミリアの悲鳴が響き渡り、プレイヤーたちの闘志をかき立てました。
開発背景や技術的な挑戦
1991年、アイレムはアーケードゲーム『クロスブレイズ』(海外名:Blade Master)をリリースしました。ベルトスクロール型のアクションゲームとして、ファイナルファイト型とも呼ばれるタイプの作品です。アイレムは美麗なドット絵と独特の色彩感覚で知られており、本作でもその技術が遺憾なく発揮されています。特に、新型の”E基板”を使用し、FM音源8チャンネルとADPCM4チャンネルを搭載するなど、当時のアーケードゲームとしては先進的な試みがなされていました。
プレイ体験
プレイヤーは二刀流の剣士ロイか、槍使いの大男アーノルドの二人から操作キャラを選びます。ゲームはオーソドックスなベルトスクロールアクションで、ジャンプと攻撃を駆使して進みます。投げや巻き込み、緊急回避といった要素は見当たりませんが、ジャンプ中に下と攻撃ボタンで地面に剣を突き刺すと、地面からアイテムが噴出し、敵に当てると一撃で倒せるなど、独自のアクションが用意されています。敵はワラワラと押し寄せ、攻撃の手を緩めることはありません。特に、ワールド2の巨大なボスが3体同時に攻めてくる場面では、ものの10秒ほどで1クレジットが消費されるほどの難易度でした。
初期の評価と現在の再評価
リリース当初、『クロスブレイズ』は美麗なグラフィックと独特の世界観で注目を集めましたが、同時期にリリースされた他のベルトスクロールアクションゲームの影に隠れ、知名度は限定的でした。しかし、近年ではレトロゲーム愛好家の間で再評価が進み、アイレムの技術力と独自性が再認識されています。
他ジャンル・文化への影響
『クロスブレイズ』は直接的な影響を与えた作品は少ないものの、アイレムの他の作品と同様に、美麗なドット絵や独特の世界観は、後のゲームデザインやアートスタイルに影響を与えました。また、ファンタジー要素とアクション性の融合は、同ジャンルの作品における一つの指標となりました。
リメイクでの進化
もし現代にリメイクされるとしたら、オンライン協力プレイや高解像度のグラフィック、そして新たなキャラクターやステージの追加が期待されます。また、現代の技術を活用したダイナミックな演出や、より深みのあるストーリー展開も考えられます。
まとめ
『クロスブレイズ』は、その美麗なグラフィックと独特の世界観でプレイヤーを魅了した作品です。難易度の高さや独自のアクション要素など、プレイヤーの挑戦心をくすぐる要素が満載でした。リリース当初は限定的な評価にとどまりましたが、現在ではその独自性と技術力が再評価されています。もしリメイクされる日が来れば、再び多くのプレイヤーを魅了することでしょう。
© 1991 IREM