AC版『バイオアタック』

AC版『バイオアタック』

『バイオアタック』は、1983年にタイトーがリリースしたアーケード向けのシューティングゲームで、人間の体内でウイルスを駆除するという斬新な設定が話題を集めました。

『バイオアタック』とは

『バイオアタック』は、ミクロ化された潜行艇が人間の体内に注入され、ウイルスの駆除と患部の治療を進めるという独特な設定のシューティングゲームです。人間の体内という未探索の領域を舞台にしたこのゲームは、プレーヤーを新しい世界に引き込みます。舞台設定やストーリーは、映画「ミクロの決死圏」(原題:Fantastic Voyage)から大きな影響を受けています。この映画は、人間の体内にミクロ化された潜水艇が侵入し、病気を治すために戦うというプロットがあり、その設定は『バイオアタック』に直接反映されています。また、ゲーム『Fantastic Voyage』を題材にしたとの情報があり、FOX VIDEO GAMESのライセンスを受けていることからも、この映画とゲームの影響が見て取れます。また、特撮シリーズ「ウルトラセブン」にも似たようなエピソードが存在します。これも『バイオアタック』の舞台設定に影響を与えた可能性があります。ミクロ化された戦士が人間の体内に侵入し、病原体と戦うというストーリーは、「ウルトラセブン」の一部エピソードと共通する要素を持っています。

『Fantastic Voyage』とは

『Fantastic Voyage』は、1982年にFox Video Gamesから発売された、Atari 2600用の縦スクロールシューティングゲームです。デザインはDavid Lubarによるもので、本作の舞台となる物語は、1966年の同名映画を元にしています。プレーヤーとその潜水艇が微細化され、病気の患者の血液内に注射されるというもの。目的は、致命的な血栓を見つけて破壊することで、患者の命を救うことです。各レベルでは、潜水艇を血管内を案内し、バクテリアや小さな血栓などの多くの障害物を避けなければなりません。潜水艇はレーザーレイを装備しており、これを使って障害物を撃つことができます。また、役立つアイテムも存在します。すべての障害物を避け、狭い通路を通過すると、血栓が見つかります。これを破壊すると次のレベルに進むことができます。しかし、何度も衝突してしまったり、血栓を破壊できなかった場合、患者は死亡し、ゲームは終了となります。難易度や各レベルの長さをカスタマイズできるオプションを実装しています。

ゲーム内容

プレーヤーはミクロ化した潜行艇を操作し、人間の体内に侵入します。体内にはウイルスや病原体が潜んでおり、それらを破壊しながら目的地を目指すことが目的です。

ストーリー設定

本作のストーリーは、ミクロ化された潜行艇が人間の体内に注入され、ウイルスの駆除と患部の治 療を進めながら最終目的地を目指すというものです。

ゲームシステム

画面下部に表示される「OXYGEN」ゲージは時間経過とともに減少し、ゲージがなくなるとゲームオーバーになります。ゲーム中で酸素カプセルを入手することでOXYGENを補充することが可能です。各ステージをクリアすると余ったOXYGEN分がボーナススコアとして加算され、次ステージではOXYGENが完全回復します。

操作方法

本作はレバーと1つのボタンを使用して操作します。ボタンを押すと、自機からメインショットが放出されます。奇数ステージでは、レバーを下に押し続けることでスクロール速度を減速することが可能です。

ゲーム画面

ゲーム画面の中心には自機が表示され、周囲には様々な敵が存在します。背景には体内の血管などをイメージしたデザインが施されており、その中を自機が移動します。画面の左上部には1Pのスコアが表示されています。これはプレーヤーが得たポイントを表し、敵を倒すことで増えていきます。また、画面の上部中央にはハイスコアが表示されています。これはこれまでのプレーで獲得した最高のスコアを示しています。ゲーム画面の最下部には「OXYGEN」という文字とともにメーターが表示されています。これは自機の酸素残量を示し、この値が0になるとゲームオーバーとなります。画面の右下隅には自機の残数が示されています。これはプレーヤーがまだ何回ミスをしてもゲームが続けられるかを表しています。また、画面の右下部にはレーダーが表示されています。このレーダーは自機が体内のどの位置にいるかを示しており、全体の進行状況を把握するのに役立ちます。

番号機能
自機
酸素
マップ
1Pスコア
ハイスコア
残機

ステージ構成

『バイオアタック』は独特のステージ構成を持つゲームで、奇数面では血管内を強制縦スクロールしながら進行します。レバーの下方向でスクロールスピードを減速させることができます。偶数ステージではスクロールが停止し、患部を治療するために腫瘍やウィルスなどを撃滅します。偶数ステージはボス戦的な位置づけとなっています。全6ステージクリア後は、再び1ステージに戻るループタイプのゲームです。

ステージ1

ステージ1は、自機が人体の血管内を移動する設定です。この血管内は、強制的に縦方向にスクロールする構造ですが、レバーの下方向に操作することでスクロールスピードを減速することが可能です。左腕の静脈から心臓を目指すルートとなっており、スクロールの最中にはウイルスが自機に襲い掛かります。ウイルスは黒色で、猫のような形状をしており、槍のようなものを投げてきます。これらのウイルスはショットで破壊可能です。しかし、ただ敵を破壊するだけでなく、血管の壁への衝突も自機の命運を左右します。壁へ衝突すると自機は破壊されるため、敵の攻撃を避けつつ、うまく血管内を航行する技術が求められます。

ステージ2

心臓が舞台となります。心臓の弁に張り付いている水色のアメーバ形の物体が出現します。このアメーバは赤色の核を持っており、その核を自機の弾で破壊することがステージクリアの条件となります。アメーバの周囲には、緑色のウイルスが浮遊しており、そのフォルムは小蝿のような形状をしています。このウイルスは自機の攻撃を受けると一時的に動きが鈍くなります。

ステージ3

他の血管ステージと同様に強制縦スクロールタイプとなっています。スクロールスピードはレバーの下方向操作で減速可能です。ここでもウィルスが敵として登場しますが、色彩は緑色となっており、自機に体当たりを仕掛けてくる行動パターンを示します。体内を進行する自機は、これら緑色のウィルスとの接触を避けつつ、血管の壁への衝突も避けなければならず、そのスキルがプレーヤーに求められます。

ステージ4

胃を舞台にしたゲームで、スクロールが停止し、胃潰瘍を撃滅することで治療を行います。胃潰瘍は赤色で、その内部にある緑色の核を破壊すればステージクリアとなります。ウサギのような水色のウィルスが敵として登場します。その攻撃を避けつつ、また、頻繁に画面上部から落ちてくる胃液にも注意しなければなりません。胃液に自機が接触するとミスとなってしまいます。2周目以降では、胃潰瘍が2つ出現します。

ステージ5

再び血管内を移動する奇数面のステージです。ゲームは強制縦スクロールタイプで、レバーの下方向でスクロールスピードを減速することが可能です。このステージでは、黒色のウィルスが敵として登場します。このウィルスは、手足が黄緑色でウサギを擬人化したようなキャラクターとなっています。プレーヤーはこのウィルスを避けたり、ショットで破壊しながら進行します。また、血管の壁への衝突も避ける必要があります。

ステージ6

右目が舞台となります。このステージでは、迷路状になった網膜血管内を自機が移動して、画面上部にある右目の隙間に自機が触れれば全ステージクリアとなります。しかし、その道中にはヘビが敵として登場します。ヘビはメイズ内を徘徊し、時折自機に向かってきます。ヘビは体当たり以外の攻撃はありませんが、その存在自体がプレーヤーの進行を妨げる大きな障害となります。さらに、血管内は明るさが交互に切り替わり、時折血管の道が見えなくなることがあります。これにより、プレーヤーは予測と瞬時の判断に基づいた移動操作を求められます。最終難関の右目付近には開閉する瞼があり、これに自機が触れるとミスとなります。このステージは一見、ドットイートタイプのゲームのように見えますが、ドットは移動できる通路のヒントとして描かれており、取ることや破壊することはできません。ステージ6は高い難易度となっていますが、これをクリアすると全ステージクリアとなります。

全ステージクリア後は特別なエンディングはなく、2周目以降は敵の数や移動速度が増加し、難易度がアップします。具体的には、ステージ4の胃腫瘍が2つになるなどの変化があります。また、背景の色が変化します。

データ

『バイオアタック』の基本情報を以下に掲載します。

発売年1983
プラットフォームアーケード
ジャンルシューティング
プレー人数1-2人(交互)
メーカータイトー
開発会社タイトー
プロデューサー
ディレクター
シナリオ
グラフィック
サウンド
販売数
受賞歴

関連タイトル

リストは本サイトの更新順です。関連タイトルは10タイトルまで表示。リスト外のものは検索ボタンから探してください。

評価

『バイオアタック』は体内空間を探索し、病原体を退治するというユニークなコンセプトを持つゲームで、その魅力的な世界観にプレーヤーは引き込まれます。グラフィックはカラフルでややコミカルチックですが、それにより体内空間のリアリティを独特な形で表現しています。ゲーム中に表示される体内の移動レーダーも、壮大なスケール感を演出しています。

一方で、このゲームは非常に難易度が高く、敵の動きがトリッキーで予測が難しいという評価が多く見られます。そのため、初見プレーヤーは突発的に敵に触れてミスになるなど、慣れが必要とされます。また、全6ステージの構成ではありますが、そのうち3つのステージはほぼ同じ内容で、実質的なステージ数は3から4という感じで、ボリューム感に欠けるとの意見が挙がっています。音楽面では、BGMは明るいノリの楽曲がメインで、舞台設定との違和感があるとの指摘もあります。また、レーダーについての言及もあります。全体的にステージは少なく、一方通行であるためレーダーとしての機能はほぼなく、偶数面で自機が体内のどの部分を守っているかを明らかにするためだけの役割しかない、という分析があります。

記憶に残るステージとしては、「心臓のステージ」が挙げられています。ポンプが動いている背景が印象的で、それが心臓の動きを表現していると想像させ、プレーヤーの印象に強く残るとの評価があります。

総合的な評価としては、『バイオアタック』はユニークな世界観と高い難易度を持つアーケードシューティングゲームで、その体内を舞台にした設定と一部印象的なステージがプレーヤーに強く記憶されるでしょう。ただし、ゲームのボリューム感や難易度、音楽と設定の違和感などについてはプレーヤーの好みに左右される部分もあります。

分析の元データは、インターネット上の書き込み情報などを可能な限り収集。相当量の情報を元に解析を実施しています。