1996年、アーケードゲーム界に新たな風を吹き込んだ『ART OF FIGHTING 龍虎の拳 外伝』が登場しました。本作は、SNKが手掛けた人気格闘ゲームシリーズ『龍虎の拳』の第3作目であり、シリーズの最終作として位置づけられています。タイトルに「ART OF FIGHTING」と冠されているのは、海外版タイトルを意識したものです。
開発背景と技術的挑戦
『ART OF FIGHTING 龍虎の拳 外伝』は、従来のシリーズ作品から大幅なシステム変更が行われました。特に、アルティメットKOシステムの導入により、特定の条件下で相手をKOするとキャラクターの衣装が破れる演出が追加され、リアリティと迫力が増しています。また、グラフィック面でも2D表現ながら3Dの要素を取り入れ、キャラクターの動きや背景に奥行きを持たせるなど、技術的な挑戦が随所に見られます。
プレイ体験と印象的な出来事
本作では、主人公がこれまでのリョウ・サカザキからロバート・ガルシアに変更され、物語も新たなキャラクターたちのドラマや戦いが描かれています。プレイヤーは多彩なキャラクターを操作し、それぞれのストーリーを体験できます。特に、アルティメットKOを決めた際の演出や、各キャラクターの個性的な技の数々が印象的で、対戦中の駆け引きや戦略性が深まっています。
初期の評価と現在の再評価
『龍虎の拳外伝』は、1996年にSNKからアーケード向けにリリースされた対戦型格闘ゲームで、シリーズ第3作目にあたります。前作までの主人公であるリョウ・サカザキやロバート・ガルシアに加え、新たなキャラクターも登場し、物語の幅が広がっています。総合的な評価としては、ポジティブな意見が約65%、ネガティブな意見が約35%と、好意的な評価が多い作品となっています。
ポジティブな評価の要因として、まず挙げられるのは、グラフィックや演出面の向上です。キャラクターのアニメーションが滑らかになり、背景も細部まで描き込まれており、視覚的な満足感が高まっています。また、各キャラクターごとのストーリーが充実しており、プレイヤーはそれぞれの背景や目的を知ることで、ゲームへの没入感が深まります。さらに、前作からのシステム改良により、バトルのテンポが良くなり、初心者でも楽しみやすい調整が施されています。一方、ネガティブな評価の要因として、ゲームバランスの問題が指摘されています。一部のキャラクターに強力な技や連続技が存在し、対戦において不公平感を感じるプレイヤーもいます。また、特定の技が強力すぎるため、対戦が単調になりがちとの意見もあります。さらに、CPU戦の難易度が高く、特に後半のボスキャラクターは初心者には手強いと感じられることが多いようです。
本作は、シリーズのファンや、ストーリー性のある格闘ゲームを求めるプレイヤーにおすすめです。多彩なキャラクターとそれぞれの物語を楽しみながら、対戦を重ねることで、ゲームの深みを味わうことができます。ただし、ゲームバランスや難易度の高さから、対戦相手との実力差が出やすいため、初心者は練習を重ねることが必要です。また、対戦時にはキャラクター間のバランスを考慮し、公平なルール設定を行うことで、より楽しい対戦が期待できるでしょう。
発売当初、『ART OF FIGHTING 龍虎の拳 外伝』は意欲的なシステム変更やグラフィックの進化が評価されましたが、同時期に他の格闘ゲームも多数リリースされていたため、やや地味な印象を持たれることもありました。しかし、現在ではその独自性やシステムの革新性が再評価され、シリーズの中でも特異な作品として注目を集めています。
他ジャンルやカルチャーへの影響
『ART OF FIGHTING 龍虎の拳 外伝』は、2D格闘ゲームに3D要素を取り入れるなど、後の格闘ゲームに影響を与えました。また、アルティメットKOのような演出は、他のゲーム作品やメディアにも影響を及ぼし、キャラクターの表現や演出の幅を広げる一因となりました。
現代にリメイクされた場合の進化
もし現代の技術でリメイクされるとしたら、以下のような進化が期待されます。
- 高解像度グラフィックスと滑らかなアニメーションによるビジュアルの強化。
- オンライン対戦機能の実装により、世界中のプレイヤーとの対戦が可能に。
- 新キャラクターやステージの追加、ストーリーモードの拡充によるボリュームアップ。
- チュートリアルやトレーニングモードの充実による初心者への配慮。
まとめ
『ART OF FIGHTING 龍虎の拳 外伝』は、シリーズの中でも独自の進化を遂げた作品であり、革新的なシステムや演出が多くのプレイヤーに新鮮な体験を提供しました。現在でもその独自性や革新性が評価されており、リメイクや続編への期待が高まっています。未体験の方は、ぜひ一度その魅力を味わってみてはいかがでしょうか。
攻略
ストーリー
本作の舞台は、架空の南米の都市「グラスヒル・バレー」。この地は、ワイラー家という名家が支配しており、物語はロバート・ガルシアが旧友のフレア・ローレンスを探すためにこの地を訪れるところから始まります。彼女の行方を追う中で、ロバートはワイラー家の陰謀や、フレアの「遺産」にまつわる秘密に巻き込まれていきます。
ロバート・ガルシアは、旧友であるフレア・ローレンスの失踪を知り、彼女を探すためにグラスヒル・バレーへ向かいます。そこで彼は、ワイラー家の当主であるワイラーが、フレアの「遺産」を利用して超人的な力を手に入れようとしていることを知ります。ロバートは、フレアを救い出し、ワイラーの野望を阻止するために戦いに挑むことになります。
ゲームシステム
アルティメットK.O.(Ultimate K.O.)
特定の条件下で超必殺技がヒットすると、相手の体力に関係なく一撃で勝敗が決まるシステムです。これにより試合の最後まで緊張感が持続し、逆転の可能性も広がります。
コンビネーションシステム
通常技を決まった順序で素早く入力することで、連続ヒットさせることができます。シンプルなコマンド入力でも多彩なコンボを繰り出せるため、初心者から上級者まで楽しめる攻撃バリエーションが特徴です。
さばき(パリー)
相手の攻撃に合わせてタイミングよく操作することで、攻撃を受け流し、その隙に反撃できる防御技です。相手の強力な技を無効化できるため、駆け引きの要となります。
ダウン攻撃(追い打ち)
相手が倒れている状態で追い打ち攻撃を加えることができるシステムです。これにより、ダウン後の攻防も重要になり、試合展開がさらに奥深くなります。
気力ゲージと挑発
気力ゲージは必殺技の使用に必要なエネルギーを示します。また、挑発を行うと相手の気力ゲージを減少させることができ、戦術的な駆け引きが生まれます。気力の残量管理が勝敗を左右します。
ヒートモード
体力が一定以下になると自動的に発動するモードで、攻撃力が上昇します。さらに、キャラクターの誕生日にプレイすると常時ヒートモードになるという特別な演出もあります。
キャラクター
ロバート・ガルシア
自由奔放なイタリアの大富豪の御曹司でありながら、極限流空手の使い手としての実力も兼ね備えたロバート・ガルシアは、華麗な蹴り技と陽気な性格でプレイヤーを魅了します。彼は、幼なじみのフレア・ローレンスを探すため、南米の都市グラスヒル・バレーへと赴き、数々の戦いに挑みます。ロバートは、極限流空手の創始者タクマ・サカザキの弟子であり、リョウ・サカザキの親友でもあります。彼の戦闘スタイルは、バランスの取れた技構成と扱いやすさから、初心者にもおすすめです。代表的な必殺技「龍虎乱舞」は、連続攻撃で相手を圧倒することができ、試合の流れを一気に変える力を持っています。ロバートの明るく前向きな性格と、華麗な技の数々は、多くのファンから愛され続けています。
リョウ・サカザキ
「無敵の龍」の異名を持つリョウ・サカザキは、極限流空手の継承者として、その実力と誠実な人柄で知られています。彼は、父タクマ・サカザキから極限流空手を学び、妹ユリ・サカザキと共に道場を支えています。本作では、ロバートの親友として彼をサポートする立場で登場します。リョウの戦闘スタイルは、パワフルな打撃技と堅実な防御を兼ね備えており、中級者以上のプレイヤーに適しています。代表的な必殺技「覇王翔吼拳」は、遠距離からの強力な気弾で相手を牽制することができ、戦術の幅を広げます。リョウの真面目で努力家な性格と、確かな実力は、多くのプレイヤーから信頼と支持を得ています。
ロディ・バーツ
トンファーを自在に操る私立探偵ロディ・バーツは、クールな外見と熱い心を併せ持つキャラクターです。彼は、フリージャーナリストのレニィ・クレストンと共に、サウスタウンで探偵業を営んでいますが、実は賞金稼ぎとしての一面も持っています。ロディの戦闘スタイルは、マーシャルアーツとトンファーを組み合わせた独自のもので、スピーディーな連続攻撃とトリッキーな動きが特徴です。代表的な必殺技「スピンナックル」は、回転しながらの強力な打撃で、相手の防御を崩すのに効果的です。ロディのクールな立ち振る舞いと、熱い闘志は、多くのプレイヤーの心を掴んで離しません。
レニィ・クレストン
ムチを武器に戦うフリージャーナリスト、レニィ・クレストンは、美貌と知性を兼ね備えた魅力的なキャラクターです。彼女は、世界を驚かせるスクープを追い求める中で、ロディ・バーツと共に数々の事件に挑んでいます。レニィの戦闘スタイルは、ムチを使った中距離攻撃と、俊敏な動きで相手を翻弄することが特徴です。代表的な必殺技「スナップウィップ」は、素早いムチの一撃で相手の隙を突くことができ、試合の流れを有利に進めることができます。レニィの強気で自立した性格と、独特の戦闘スタイルは、多くのファンから支持を受けています。
藤堂 香澄
藤堂流古武術の使い手であり、行方不明の父・藤堂竜白を探すために旅をする藤堂香澄は、清楚な外見とは裏腹に、芯の強さを持つ女性キャラクターです。彼女は、父の跡を継ぎ、藤堂流古武術を極めるべく日々修行に励んでいます。香澄の戦闘スタイルは、投げ技やカウンター技を駆使した防御的なもので、相手の攻撃を受け流しながら反撃する戦術が求められます。代表的な必殺技「霞払い」は、相手の攻撃をかわしつつ反撃する技で、タイミングを見極めることで大きな効果を発揮します。香澄の真面目で努力家な性格と、独自の戦闘スタイルは、多くのプレイヤーから高い評価を受けています。
不破 刃
筋骨隆々の肉体を晒し、雄叫びを上げながら戦場を駆ける不破 刃は、従来の忍者像を覆す異色の存在です。彼はかつて如月流忍術の門下生でしたが、次期総帥の座を如月影二に奪われたことを恨み、独自に「不破流忍術」を編み出しました。彼の戦闘スタイルは、力強い打撃と予測不能な動きが特徴で、上級者向けのキャラクターといえます。代表的な必殺技「不破流・烈風斬」は、相手の防御を突き破る強力な一撃で、試合の流れを一変させる力を持っています。彼の熱血漢ぶりと独特の存在感は、多くのプレイヤーから愛されています。
カーマン・コール
常に冷静沈着な態度を崩さないカーマン・コールは、ガルシア財団のエージェントとして、ロバート・ガルシアの監視と保護を任されています。彼は護身術をベースにした戦闘スタイルを持ち、堅実な攻撃と防御を得意としています。初心者にも扱いやすいキャラクターであり、バランスの取れた性能が魅力です。代表的な必殺技「カーマン・スラスト」は、相手の隙を突く鋭い突進攻撃で、試合の主導権を握るのに適しています。彼の厳格な性格と忠誠心の強さは、多くのプレイヤーから信頼を寄せられています。
王 覚山(ワン・コーサン)
一見すると小太りの画家に見える王 覚山は、実は幻の拳法「心意六合拳」の使い手であり、ペリカンのホエホエと共に旅をする風変わりな格闘家です。彼の戦闘スタイルは、独特なリズムとタイミングで相手を翻弄するもので、上級者向けのキャラクターといえます。代表的な必殺技「心意六合拳・爆砕」は、相手の攻撃を受け流しつつ反撃する技で、試合の流れを読み切る力が求められます。彼のユニークなキャラクターとコミカルな演出は、多くのプレイヤーから親しまれています。
シンクレア
神秘的な雰囲気を纏うシンクレアは、ワイラーの側近として暗躍する剣士であり、ペルシャ風の衣装と湾刀を操る姿が印象的です。彼女の戦闘スタイルは、舞踏のような華麗な動きと鋭い剣技を組み合わせたもので、中級者以上のプレイヤーに適しています。代表的な必殺技「剣舞・月影」は、連続する斬撃で相手を圧倒する技で、攻撃の起点として有効です。彼女の謎めいた性格と美しいビジュアルは、多くのファンを惹きつけています。
ワイラー
ワイラーは、グラスヒル・バレーを支配する名家の当主であり、父の遺志を継いで危険な秘薬の研究を続けています。彼はその薬を自らに投与し、巨体と怪力を得てプレイヤーに立ちはだかります。彼の戦闘スタイルは、圧倒的なパワーと耐久力を活かしたもので、上級者向けのキャラクターです。代表的な必殺技「ワイラー・クラッシュ」は、広範囲に及ぶ強力な打撃で、相手の防御を打ち砕く力を持っています。彼の狂気じみた野望と圧倒的な存在感は、多くのプレイヤーに強烈な印象を残しています。
隠し要素
アーケード版
シンクレア、ワイラーが使用できる
MVSの内部カレンダーが1996年4月26日以降の場合、キャラクター選択画面で左右に矢印が表示されます。カーソルを左に移動するとシンクレア、右に移動するとワイラーを選択可能です。
勝ち抜き人数の表示の変化
2P戦中に勝ち抜き人数が増えると、次回以降の対2P戦で勝ち抜いた側のキャラクターの上に「○人抜き」と表示されるようになります。10人以上勝ち抜くと文字による表示になります。
勝ち抜き人数 | 表示 |
---|---|
10人以上 | 中級 |
15人以上 | 上級 |
20人以上 | 熟練 |
25人以上 | 有段 |
30人以上 | 師範 |
35人以上 | 達人 |
40人以上 | 名人 |
45人以上 | 覇者 |
誕生日システム
各キャラクターには誕生日が設定されており、MVSの内部カレンダーと一致する場合、対戦前セレクトモード画面の上部に「HAPPY BIRTHDAY ○○」や「SPECIAL DAY」と表示されます。
キャラクター | 誕生日 |
---|---|
ロバート | 12月25日 |
リョウ | 8月2日 |
ロディ | 7月24日 |
レニィ | 5月20日 |
香澄 | 3月29日 |
刃 | 9月4日 |
カーマン | 6月13日 |
王 | 4月17日 |
シンクレア | 11月14日 |
ワイラー | 10月22日 |
極限流に対する挑発が変化
香澄がロバートとリョウに対して挑発を行うと、特殊なボイスが再生されます。
香澄のくしゃみ
香澄が勝利した際、勝利ポーズに移行する前から、敗戦者側のプレイヤーがAボタンを押しっぱなしにすると、勝利ポーズ後にくしゃみの演出が発生します。
王のスケッチを選ぶ
王のエンディングで、スケッチブックから描かれる絵をコマンド入力で選べます。各キャラクターに応じたコマンドを押しっぱなしにすると、該当キャラクターのスケッチが描かれます。
描かれるキャラクター | コマンド |
---|---|
ロバート | A押しっぱなし |
リョウ | B押しっぱなし |
ロディ | レバー+A押しっぱなし |
レニィ | レバー+B押しっぱなし |
香澄 | D押しっぱなし |
刃 | レバー+C押しっぱなし |
カーマン | C押しっぱなし |
対2P戦の勝利メッセージを選択
対2P戦で勝利時、A・B・C・Dボタンのいずれかを押したままにしていると、ボタンに対応したメッセージを意図的に表示できます。
ボタン | 相手へのメッセージのタイプ |
---|---|
A | 尊敬のメッセージ |
B | 通常のメッセージ |
C | 余裕のメッセージ |
D | 挑発のメッセージ |
ネオジオ版
アーケード版と同様の要素に加え、家庭用ならではの追加要素や隠しキャラクターが存在します。以下の要素はアーケード版にも存在する隠し演出です。
- 勝ち抜き人数表示の変化
- 極限流に対する挑発の変化
- 香澄のくしゃみ
- 王のスケッチを選ぶ
- 2P戦の勝利メッセージ切替
「シンクレア」の出し方
キャラクター選択画面で、刃 → カーマン → レニィ → 王 → 香澄 → ロディ → リョウ → ロバートの順にカーソルを合わせながらBを押していくと、画面左に矢印が出現。その状態で画面外にカーソルを動かすと、シンクレアの選択が可能になります。
「ワイラー」の出し方
キャラクター選択画面で、ロバート → リョウ → ロディ → 香澄 → 王 → レニィ → カーマン → 刃の順にカーソルをあわせながらCを押していくと、画面右に矢印が出現。画面外にカーソルを動かすと、ワイラーの選択が可能になります。
データ
『龍虎の拳 外伝』の発売年、メーカー、開発などのデータです。
発売年 | 1996 |
メーカー | SNK |
開発会社 | SNK |
プラットフォーム | アーケード(NEOGEO MVS)、NEOGEO、NEOGEO CD |
ジャンル | 対戦格闘 |
プロデューサー | 不明 |
ディレクター | 不明 |
作曲者 | 不明 |
キャラクターデザイン | 不明 |
販売本数 | 不明 |