アーケード版『720°』革新的な操作性でスケートボード体験を再現した名作

1980年代後半、ゲームセンターの薄暗い照明の中で、ひときわ目を引く大型筐体がありました。上部にブームボックスを模したスピーカーを備えたその筐体からは、エネルギッシュな音楽とともにスケートボードの世界が広がっていました。プレイヤーたちは独特の回転式ジョイスティックを握りしめ、トリックを決めるたびに歓声を上げていました。これは、アタリが1986年にリリースしたアーケードゲーム『720°』の情景です。

開発背景や技術的な挑戦

『720°』は、アタリが1986年に開発・発売したスケートボードをテーマにしたアーケードゲームです。開発チームは、スケートボード文化の躍動感をゲームで再現することに挑戦しました。特に、360度回転する独自のジョイスティックを採用し、プレイヤーが実際にスケートボードを操作しているかのような感覚を追求しました。また、当時のアーケードゲームとしては高解像度の512×384ピクセルのディスプレイを使用し、滑らかなグラフィック表現を実現しました。

プレイ体験

プレイヤーはスケートボーダーとなり、街中を自由に滑走しながらトリックを決め、ポイントを稼ぎます。ゲーム内には「ランプ」「ダウンヒル」「スラローム」「ジャンプ」の4つのイベントが用意されており、それぞれ異なる技術が求められます。特に、制限時間内に目標を達成しないと「SKATE OR DIE!」のメッセージとともに蜂の大群が襲ってくる演出は、プレイヤーに緊張感を与えました。

初期の評価と現在の再評価

発売当初、『720°』はその革新的な操作性とリアルなスケートボード体験で高い評価を受けました。特に、スケートボード文化が広まりつつあった時期と重なり、多くの若者たちの支持を集めました。現在でも、初期のエクストリームスポーツゲームの先駆けとして、その歴史的価値が再評価されています。

他ジャンル・文化への影響

『720°』は、スケートボードを題材とした初期のゲームとして、その後のエクストリームスポーツゲームの礎を築きました。また、スケートボード文化の普及にも寄与し、若者たちの間でスケートボードへの関心を高める一因となりました。

リメイクでの進化

現代にリメイクされるとすれば、VR技術を活用した没入型のスケートボード体験が期待されます。さらに、オンラインマルチプレイヤーモードを導入し、世界中のプレイヤーと競い合うことが可能になるでしょう。また、実在のスケートパークやプロスケーターとのコラボレーションも考えられます。

まとめ

『720°』は、その革新的な操作性とリアルなスケートボード体験で、アーケードゲームの歴史に名を刻みました。スケートボード文化の普及にも貢献し、現在でも多くのファンに愛されています。リメイクの可能性も含め、今後もその影響力は続くことでしょう。

© 1986 Atari Games Corporation