アーケード版 『スプラッターハウス』

スプラッターハウス

『スプラッターハウス』は、映画『13日の金曜日』のキャラクター・ジェイソンを彷彿とさせるキャラクター・リックを操作し、不気味な敵を倒しながら恋人・ジェニファーを救出する、横スクロールアクションゲームです。映画のようなホラーな世界観と、高難易度が特徴です。1988年にナムコから発売され、その異色の世界観で話題を集めました。

『スプラッターハウス』とは

主人公はジェイソン風のキャラクター、リックで、恋人・ジェニファーの救出を目指します。ゲームの世界観はホラーで、不気味な敵と戦いながら進行します。このゲームは、難易度が非常に高く、全ステージクリアは至難の業です。当時のナムコが発売したゲームとしては、異色のホラー要素が強く、そのため話題を集めましたが、セールス自体はそれほどでもなかったため、知名度はそれほど高くありません。ゲームシステムとしては、リックを操作して、屋敷内を探索し、途中で出現するグロテスクなモンスターと戦いながら進むというものです。敵を倒すための攻撃方法は、パンチやキック、そして途中で入手できる武器を使用します。映画『13日の金曜日』を彷彿とさせる主人公・リックの風貌や、残虐かつグロテスクな表現が特徴的で、これまでのアーケードゲームとは一線を画した作品です。

ゲーム内容

プレーヤーは、ジェイソン風のキャラクター・リックを操作し、さらわれた恋人ジェニファーを救出するため、恐怖の館「スプラッターハウス」を探索します。操作は8方向レバーと2つのボタンで行い、グロテスクな敵をパンチやキック、さらには移動中に拾える武器で倒していきます。一定時間前進しないとダメージを与える霧が出現し、プレーヤーの行動を促します。

ストーリー設定

超心理学の権威ウエスト博士の奇怪な研究とそれによって生み出された怪物が登場します。ウエスト博士は「死者蘇生」の研究に没頭した結果、自らの命を落とし、彼の住んでいた館は怪物が徘徊する恐怖の館と化してしまったのです。主人公のリックとその恋人ジェニファーは、この話に興味を持ちウエスト館を訪れますが、そこで豪雨により閉じ込められ、ジェニファーは怪物にさらわれてしまいます。絶望の中、リックに呼びかける声があり、それは「ヘルマスク」、古来より覇者に強大な力を授ける伝説の仮面の精霊でした。ヘルマスクを身につけたリックは超人的な身体能力を手に入れ、さらわれた恋人ジェニファーを救出するために、スプラッターハウスの奥深くへと進んで行きます。

リック・テイラー

リック・テイラーはこの物語の主人公で、もともとは超心理学を学ぶ普通の大学生でした。しかし、ゾンビによる襲撃で瀕死の状態に陥ります。その危機的な状況の中、伝説のヘルマスクの力を借りて超人的な能力を得ることに成功します。ヘルマスクは装着者の潜在能力を最大限に引き出す力を持ち、何らかの目的でリックを利用しているようです。リックは新たに得た力を用いて、怪物に誘拐された恋人、ジェニファーを救出するために1人で戦う道を選びます。その姿は、単なる学生から超人的な戦士へと変貌を遂げた彼の勇敢さを物語っています。

ジェニファー・ウィルス

ジェニファー・ウィルスは主人公リック・テイラーの恋人で、彼女自身も大学生です。しかし、怪物たちがはびこる館によって捕らわれてしまいます。彼女の救出はリックが力を借りて立ち向かう主要な目的となっています。

ヘルマスク

ヘルマスクは伝説の仮面で、数々の精霊の力が宿る特殊な存在です。装着者の潜在能力を最大限に引き出す能力を持ち、リックはこの力を借りて超人的な力を手に入れます。この仮面は自我を持ち、何らかの目的のためにリックを利用していると言われています。形状はホッケーマスクに似ており、シリーズごとにデザインが変わっています。

ウエスト博士

ウエスト博士は独特な実験に熱中する狂気を孕んだ天才科学者で、その人道を越えた実験の結果、自分自身も命を落とす運命を辿りました。ただし、彼のキャラクターは本作中には登場しません。

操作方法

8方向レバーと2つのボタン(AボタンとBボタン)を使用します。レバーを左右に入力することで、キャラクターのリックが移動します。また、レバーを上方向に入力することで、壁に掛かっているアイテムを取得できます。レバーを下方向に入力することで、リックはしゃがむことができ、この状態で落ちているアイテムを拾うことが可能です。また、ジャンプ中、下方向に入力するとスライディングキックも可能です。

Aボタンは、通常の状態ではパンチを出し、アイテムを手に持っている場合はそれを使用します。しゃがんだ状態ではキックが可能で、ジャンプ中にはジャンプキックを出せます。

Bボタンは、リックがジャンプします。ジャンプ中にAボタンを押すとジャンプキックを出すことができ、これを連打すると空中でもパンチが出ます。また、ジャンプ中に下を押しながらAボタンを押すと、スライディングキックを出すことができます。

アイテム

アイテムは、ステージ内で拾うことができます。アイテムには一度だけ使えるものと、何度でも利用できるものが存在します。ただし、一部のアイテムは攻撃方法が制限されるため、使い分けが求められます。アイテムはそのエリア内でのみ利用可能で、次のエリアへ進むときには自動的に放棄されます。

アイテム効果
角材リーチがあり、敵を壁に叩きつけることができる。
デッドマンの首を刎ねたり、ハンギングデッドを真っ二つにできる。
スパナ・石敵に投げつけて攻撃する。石の場合は山なりに飛んでいくのではなく、重力を無視してほぼ水平に飛んでいく。
銃(ショットガン)8発装填の撃ち捨て武器。登場はステージ3のみだが、2丁入手できる。ピギーマン戦に有効で、進行方向に発射するとほぼ瞬時に前方最前列の敵に無条件でダメージを与えるが、威力は他の投擲武器と同じ程度。
モリ壁に掛けてあったモリを投げつける。ステージ4のみの登場。投擲時にやや隙ができやすく、接近戦には向かない。
敵を斬り付ける。ステージ4のボス戦のみ使用可能。

ステージ構成

全7ステージ構成です。ステージは独特な世界観とストーリーが描かれています。ステージ1では薄暗い地下牢を探索し、STAGE2では拷問部屋と地下水路、森の小道と雷雨が印象的なSTAGE3、朽ち果てた本館に挑むSTAGE4、そして本館の深部と化け物の巣窟を通り抜けるSTAGE5とSTAGE6を経て、燃え上がる建物からの脱出を試みる最終ステージが待ち受けています。それぞれのステージは特有の敵とボス、戦略が求められ、時にはルート分岐による選択も必要となります。

STAGE1

スプラッターハウスの別館地下に位置しています。薄暗く湿った地下牢で、惨殺死体が至る所に転がっています。デッドマンやコウモリ、地面から突如現れる針のトラップに気をつけながら進む必要があります。

ボスとしてボディイーターが待ち構えています。ボディイーターとは、恐ろしく大きな肉食性の蛭です。これらの生物は餌を感知すると、肉の塊でできた巣から現れ、一団となって攻撃します。その巨大な口と鋭い歯で、飛び跳ねながら攻撃したり、足元に潜って噛みつくこともあります。もし噛み付かれた場合、蹴りで反撃しなければ連続的にダメージを受けることになります。また、BGMが終わると同時に、左奥に吊り下げられているハンギングデッドの腹部から最後の1匹が飛び出します。これに注意していないと、意識が他に向いている間にダメージを受けてしまう可能性があります。STAGE4とSTAGE5では、選択したルートにより、途中の敵として再び出現する可能性もあります。攻略法は、画面の端に行き、パンチとキックを連打して迎撃します。

STAGE2

別館内部を進みます。凄惨な光景の拷問部屋を抜け、鎖に繋がれた亡者やハンギングデッドに注意しながら進む必要があります。後半は地下水路を進みますが、ウォーターデッドとトゲ付き鉄球が新たな脅威となります。

ボスのポルターガイストは、悪霊が家具や食器を意思があるかのように操ります。訪問者に対してこれらの物体を使って攻撃を仕掛けます。攻撃に使用される物体には、ワイングラス、蝋燭、ナイフ、椅子、空き缶、ウィスキー瓶、額縁、シャンデリアなどがあり、攻撃の段階が進むにつれて攻撃に使用される物体が変化します。悪霊自体は額縁の中に潜んでいて、これを倒すと悪霊は額縁から出て窓から逃げ出します。ただし、逃げ出した悪霊の直後に落ちてくるシャンデリアに接触すると、体力がどれだけ残っていても一瞬で倒れてしまいます。攻略法は、右の窓の位置へ移動しシャンデリアのロウソクが全部落ちたら眼の額縁の位置へ移動して椅子を壊します。その後はシャンデリアの左端の位置へ移動し、右向きにパンチしてナイフを壊すことが必要です。額縁が動き始めたらパンチ連打で倒します。その後、シャンデリアが落ちてくるのを避けるために左右どちらかに移動します。

STAGE3

本館へ続く小道で、雷雨の中の朽ちかけた庭を進みます。途中の桟橋では左右に動く水溜りに注意しなければなりません。ここで足を踏み入れると下部の川エリアへ引き込まれてしまいます。

ボスのピギーマンは、驚異的な身体能力を持つ怪人で、ウエスト博士によってその両手にチェーンソーが組み込まれました。全身に発達した筋肉と頭にすっぽりと覆いかぶさった布袋が彼のトレードマークです。その巨大な身体とは対照的に、彼は非常に高い身体能力を持ち、特にその跳躍力は驚異的です。ショットガンで約10発攻撃することで撃滅することができます。ショットガンだけでは倒せなかった場合はスライディング攻撃を活用します。

STAGE4

本館の入り口へと進みます。荒れ果てた廃屋の中には朽ちた調度品が並び、回転する刃やミラーリックといった新たな障害物が登場します。

ボスのイービルクロス&ナイトメアは、礼拝堂の十字架に悪霊が宿った存在です。正常な位置から反転し、逆十字となっています。この逆十字は、複数のナイトメアという生首のような存在を引き連れ、出現地から右へ逃げて行き、行き止まりに達すると半円を描きながら左右に動き続けます。ナイトメアと呼ばれる生首たちは、イービルクロスの周囲を回転しつつ、時々リックに向けて攻撃を仕掛けます。これらは一定距離を進んだ後に消えますが、すぐに大量に再出現するため、倒すことに意味はありません。これに対抗するためには、イービルクロスである本体の十字架を攻撃しなければなりません。倒すためには右に進んで斧を取得し、ボスが放物線を描くように左右に移動するのを見越して攻撃する必要があります。飛んでくる頭を潰しながら十字架を攻撃します。

STAGE5

本館の中央部を進みます。館の深部には様々な超常現象が待ち受けています。

ボスは、リックの恋人ジェニファーです。彼女は残念ながら館の怪物たちによって異形の存在に変えられてしまいます。自身の意志とは無関係に、彼女の体は凶暴な怪物に変身するようになり、リックと再会するなり、その変貌した姿で攻撃してきます。怪物化したジェニファーは、体格と跳躍力ではピギーマンと同等で、鋭く伸びる爪を使って敵を混乱させます。一定量のダメージを受けると一時的に人間の姿に戻り、その攻撃パターンも段階的に変わっていきます。リックがこの戦いで失敗すると、倒れた彼をジェニファーは冷笑しながら見下ろします。彼女を倒すためには画面中央に立ち、ジェニファーがジャンプして来たらパンチで落とすことが重要です。その後の爪攻撃は中央にいれば避けることができます。変身3回目では、爪攻撃を避けた後、ショートステップして近づいてきたところをパンチで攻撃し、直ぐに中央へ逃げることを繰り返します。

STAGE6

館の最深部、化け物の生まれいずる場所に挑戦します。ここは生物の体内のような肉の洞窟で、スクロールが自動で進行します。臓物から次々と産み出されるオバたちに注意しながら進む必要があります。

ボスのマザーはウエスト館の中核部分であり、すべての魔物の源となる存在です。館に寄生している巨大な心臓のような存在で、ゆっくりと拍動しながら絶えずエッグオバという卵状のものを産み出します。マザーを倒した後にその周辺に留まっていると、本体が爆発し散らばった内部物質に接触してしまい、それによりダメージを受けることがあります。攻略方法は、水子と泡に注意しながらひたすら攻撃することで倒せます。討伐後に出てくる体液はしゃがんでいれば避けることができます。

STAGE7

最後のステージ7では、ウエスト館の崩壊とともに脱出を試みます。炎上する庭を通り抜け、火に包まれて飛び回るファイヤーデッドや、破壊できない障害物を避けながら進みます。

ボスのヘルカオスは、ヘルマスクに宿る仮面の精が、地下に潜んでいた怪物に乗り移った姿を指します。この姿では、腐敗した頭部と両腕だけが地上に現れ、土砂を舞い上げたり、巨大な腕で掴みかかったりすることがあります。攻略方法は、岩を巻き上げてくる攻撃や地面からでてくる両腕に注意しながら攻撃を当てます。両腕に挟まれた時は、両腕の中央位置で腕が伸びきった直後に垂直ジャンプで回避することができます。

敵キャラクター

キャラクター詳細
デッドマン下級の実験体で、呻き声を上げながら群れをなして襲い掛かる。特定のステージでは跳びかかるものもいる。
グリンデッドマン緑色のデッドマンで、通常のデッドマンと違い耐久力がある。
バット吸血コウモリで、一直線に飛んできたり、大きく蛇行しながら飛んできたりする。
トップヘビーキノコのような頭を持つ上級の実験体。爪で攻撃し、胴体が崩れた後は頭だけで突進する。
ハンギングデッドゾンビ化した首吊り死体。天井の穴から移動したり、体液を吐きかけるタイプがいる。
ウォーターデッド地下水路などに生息する大柄な実験体。長い腕で攻撃してくる。
イビルドッグゾンビ化した犬。特定のステージではデッドマンを襲う。
ウォーターハンド水たまりのような姿の幽霊。触れると巨大な手に変わり、川へと強引に引きずり込む。
ノブー崩れた胎児のような怪物。地面を這うように移動し、近づくと体液を吐きかける。
カラス凶暴化した青色のカラスで、一直線に飛んでくる。
ミラーリックリックの鏡像で、鏡を破って背後から襲い掛かる。攻撃はリックと同じだが、ジャンプしながら攻撃することもある。
ナイトメア6つの生首の亡霊で、イービルクロスを守る。
ウッデイ意思を持つ切断された手。ダメージ床を行き来し、指で挑発したり高く飛び上がったりする。
ピクチャーゴースト絵画に取り憑いた悪霊。キャンバスに描かれた女性の顔部分が飛び出して浮遊する。
ジョーカー青白い女性の幽霊。空中をふらふら飛び回り、手にしたドクロを投げる。
リバイバルデッドゾンビ。白骨化が進んだ素早いタイプと、頭部がえぐれた動きの鈍いタイプがいる。倒されても何度でも甦る。
マスターデッドリバイバルデッドを統率するネクロマンサー。崩れたリバイバルデッドを復活させる能力を持つ。
エッグオバ羊膜に包まれたオバの卵。空中を浮遊し、着地するとオバが誕生する。
オバデッドマンの幼生。跳ねながら接近し、相手にしがみつき、体力を奪う。
ファイヤーデッド炎に包まれ、苦悶の表情で跳ね回るデッドマン。障害物扱いなので倒すことはできない。

データ

このタイトルの基本情報です。

発売年1988
プラットフォームアーケード
ジャンルアクション
プレー人数1人
メーカーナムコ
開発会社ナムコ
プロデューサー水野一実
ディレクター横山茂
シナリオ
グラフィック石田正則
サウンド田島勝朗、川元義徳
販売数
受賞歴

評価

『スプラッターハウス』は、従来のナムコのカラフルでポップなイメージから大きく逸脱し、残虐で暴力的なゲーム内容を提示するという大胆な挑戦を行った作品です。その生々しいグロテスクな描写は、ホラー映画ファンには高い評価を得ており、特にスプラッターホラーを愛するゲーマーからは絶大な支持を受けています。しかし、その一方で子どもや残虐表現が苦手な人には刺激が強すぎるとの意見も見られます。時代背景を考えると、このゲームが一般向けに公開されていたこと自体が異例で、その衝撃的な存在はナムコの歴史においても特異な存在であり続けています。ゲームとしての完成度も非常に高く、上達が目に見えて分かるバランス感や、個性的な敵や罠をかいくぐる楽しさ、さらにプレーヤーの心理を揺さぶる演出も兼ね備えています。

総合的に見ると、このゲームはホラー映画やスプラッターホラーが好きな人、独特の世界観に興奮する人、難易度の高いゲームを楽しむことができる人に特におすすめできるゲームです。また、80年代の潮流を感じ取りたい人や、ゲームにおけるストーリーテリングの方法に興味がある人にも適しています。しかし、暴力表現やグロテスクな描写が苦手な人には向かないかもしれません。

分析の元データは、インターネット上の書き込み情報などを可能な限り収集。相当量の情報を元に解析を実施しています。