AC版『エアーウルフ』テレビドラマ原作ゲームの歴史と再評価

1980年代後半、アーケードゲームは多様なジャンルで新しい挑戦を続けていました。その中で、九娯貿易(Kyugo)がリリースした『エアーウルフ』は、同名のアメリカのテレビドラマ『超音速攻撃ヘリ エアーウルフ』を題材にしたゲームとして登場しました。プレイヤーは戦闘ヘリ「エアーウルフ」を操縦し、敵の基地に潜入して人質を救出するというミッションに挑みます。

開発背景と当時のアーケードゲーム業界

1987年は、テレビや映画の人気作品をゲーム化する流れが活発だった時期です。『エアーウルフ』もその一環として開発され、テレビドラマの世界観をゲームプレイに落とし込む試みがなされました。当時のアーケードゲーム市場は高い競争率を誇り、独自性が求められる中、九娯貿易はこの作品を通じてヘリコプターを操作するシューティングゲームという新たなジャンルを模索したと考えられます。

『超音速攻撃ヘリ エアーウルフ』とは

『超音速攻撃ヘリ エアーウルフ』は、1984年から1986年にかけてアメリカで放送されたテレビドラマで、全55話が制作されました。日本では1986年から1987年にかけて日本テレビで放送され、2024年9月8日からはBS松竹東急でHDリマスター版が放映されています。

物語は、ベトナム帰還兵のストリングフェロー・ホークが、CIAが秘密裏に開発した超音速攻撃ヘリコプター「エアーウルフ」を駆使して、さまざまな事件を解決していくという内容です。エアーウルフは、マッハ1以上の速度で飛行可能な攻撃用ヘリコプターで、強力な武装と高度な電子機器を備えています。しかし、開発者のチャールズ・ヘンリー・モフェット博士がエアーウルフを強奪し、リビアに逃亡。ホークは、CIA特別作戦部長のマイケル・コールドスミス・ブリッグス3世(コードネーム「アークエンジェル」)の依頼を受け、友人のドミニク・サンティーニとともにエアーウルフを奪還します。その後、ホークはエアーウルフを隠匿し、兄のセント・ジョンの生死確認を条件に、CIAの秘密作戦に協力することになります。

主な登場人物は、主人公のストリングフェロー・ホーク(演:ジャン=マイケル・ヴィンセント)、彼の友人でサンティーニ航空を経営するドミニク・サンティーニ(演:アーネスト・ボーグナイン)、CIA特別作戦部長のアークエンジェル(演:アレックス・コード)などです。シーズン2以降には、元テキサス・ハイウェイパトロールの女性警察官ケイトリン・オシャネシィ(演:ジーン・ブルース・スコット)も加わります。

エアーウルフの母体となったのは、ベル・ヘリコプター社のベル222で、撮影用に特別な外装が施されました。撮影終了後、機体はドイツの航空会社に売却され、救急ヘリコプターとして運用されていましたが、1992年に事故で失われました。しかし、外装部品は個人コレクターが所蔵していたため、2006年にテネシー州のヘリコプター博物館でレプリカが作成されました。

音楽は、シルヴェスター・リーヴァイが作曲を担当し、特にテーマ曲は日本でも人気を博しました。日本では、キングレコードのスターチャイルドレーベルから、ナイトライダーとのカップリングでカバー演奏のレコードやCDが発売されました。

『超音速攻撃ヘリ エアーウルフ』は、当時の最新技術を駆使したヘリコプターアクションと、主人公たちの人間ドラマが融合した作品として、多くのファンに愛されました。その後も再放送やリマスター版の放映が行われ、現在でも根強い人気を持っています。

プレイ体験

『エアーウルフ』は横スクロールのシューティングゲームで、8方向に対応したジョイスティックと2つのボタン(対空ショットと地上ショット)を用いて操作します。地上攻撃は高度によって自動的にミサイルとバルカン砲が切り替わる仕組みです。また、プレイヤーは2つのボタンを同時押しすることで宙返り(ループ)を行い、敵の攻撃を回避することが可能です。

ステージは全4つで構成され、それぞれに強力な敵が待ち構えています。エアーウルフの操作には独特の慣性が働き、ヘリコプターの挙動をリアルに再現しています。この特性により、戦略性のある操作が求められますが、特に宙返りの際には画面端で挙動が不安定になることもあり、熟練したプレイが必要です。

発売当時と現代の評価

総合的な評価としては、当時のアーケードゲームとして平均的な評価を受けていました。具体的な数値データは限られていますが、ポジティブな評価が60%、ネガティブな評価が40%程度であったと推測されます。

ポジティブな評価の要因として、まず原作ドラマのファンにとっては、エアーウルフを直接操作できる点が大きな魅力でした。ゲーム内では、前方への弾と地上への攻撃を使い分けることができ、さらに2つのボタンを同時に押すことで宙返り(ループ)を行うなど、多彩なアクションが可能でした。また、補給を受けることでパワーアップするシステムや、ヘリコプター特有の慣性を再現した操作感も、リアリティを追求していると評価されました。一方、ネガティブな評価の要因としては、操作性に関する指摘がありました。特に、宙返りの操作が2つのボタンの同時押しで行われるため、意図しないタイミングで発動してしまい、結果的に被弾するケースが見受けられました。また、地上への攻撃が当てづらいと感じるプレイヤーも多く、地上弾が地面を跳ねる挙動が原因で、狙いを定めるのが難しいとの意見がありました。これらの点について、プレイヤーからは操作方法の改善や、攻撃の当てやすさの向上を望む声が上がっていました。

このゲームは、特に原作ドラマ『エアーウルフ』のファンや、1980年代のアーケードシューティングゲームに興味を持つプレイヤーにおすすめです。独特の操作感や、ヘリコプターを題材としたゲームプレイを楽しみたい方にも適しているでしょう。ただし、操作性に独特な部分があるため、慣れるまでに時間がかかる可能性があります。そのため、チャレンジ精神旺盛で、新たなゲーム体験を求めるプレイヤーにも向いていると言えます。

全体として、『エアーウルフ』は原作の雰囲気を再現しつつ、独自のゲーム性を持った作品として、当時のゲームファンやドラマファンから一定の支持を得ていました。操作性に課題はあったものの、その分やりごたえのあるゲームとして楽しむことができるでしょう。

『エアーウルフ』の発売当時の詳細な評価は限られていますが、テレビドラマの人気を背景に注目を集めたと推測されます。ゲームとしては短いながらも独特の操作感と世界観で一定のプレイヤー層に支持されました。

影響と遺産

『エアーウルフ』はテレビドラマを題材としたゲームの中でも独自のゲーム性を持ち、後のシューティングゲームやヘリコプターを操作するゲームに影響を与えたと考えられます。このゲームの持つ独自性は、アーケードゲーム史において一つの足跡を残したと言えるでしょう。

現代向けのリメイクの可能性

もし『エアーウルフ』が現代向けにリメイクされるならば、より詳細なグラフィックや複雑なミッション構成が追加される可能性があります。また、オンライン要素を活用した協力プレイや対戦モードが導入されれば、現代のプレイヤー層にも訴求力を持つ作品になるでしょう。

まとめ

『エアーウルフ』は、テレビドラマをゲーム化する中で特有の魅力を持った作品です。独特の操作感や隠し要素の発見、戦略的なプレイが求められるゲーム性は、当時のプレイヤーに強い印象を与えました。現代においても、そのレトロな魅力と新しい視点での再評価を楽しむことができる作品です。シューティングゲームの一つの可能性を示したこのゲームは、今もなおゲームファンにとって特別な存在であり続けています。

データ

『エアーウルフ』の発売年、メーカー、開発などのデータです。

発売年1987
メーカー九娯貿易
開発会社九娯貿易
プラットフォームアーケード
ジャンルシューティング
プロデューサー不明
ディレクター不明
作曲者不明
キャラクターデザイン不明
販売本数不明